呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#制作国:イギリス

ハンターキラー 潜航せよ

2020/7/10鑑賞 監督:ドノバン・マーシュ ミリタリオタク全部盛りみたいな映画だが、今の情勢でこの映画を見ると、なんとなく、ロシアを理解したいアメリカという像が見えてくる。ロシアの大統領役はプーチンに似ても似つかないけど、ロシアの艦長役の役者は…

キャッシュトラック

2022/1/9鑑賞 監督:ガイ・リッチー ロサンゼルスにある現金輸送専門の警備会社フォーティコ警備は、襲撃事件で生じた欠員を補うためパトリック・ヒルというイギリス人を採用する。ヒルは倒産したオレンジデルタ警備に所属していた経験者で、採用試験の成績…

ムーンライティング

2015/6/20鑑賞 監督:イエジー・スコリモフスキ 出稼ぎをするために、ポーランドの不法労働者がイギリスで建物の改築を行う映画。途中、母国でクーデターが起こって帰れなくなるけど、リーダーはそれを仲間にひた隠しにする。あと盗みもやり出す。張りつめた…

ロード・オブ・セイラム

2017/10/10鑑賞 監督:ロブ・ゾンビ セイラム魔女裁判の呪いが、セイラムに住むラジオパーソナリティの女性にふりかかり、なんだかすごいことになる映画。 しかし、セイラムって今は違う地名になっていたのではと思った。 ほとんど最初からラストの一枚絵が…

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール

2016/2/15鑑賞 監督:スチュアート・マードック 久々に5分でリタイア。そもそもエミリー・ブラウニングの顔が好きではないところに、冒頭のショットで額に皺が寄っているところと、こけた頬を見せられて耐えられなくなった。

恐怖ノ黒電話

2013/12/29鑑賞 監督:マシュー・パークヒル 離婚して転居してきた女性が、引っ越し先の家にすでに据え付けられていた古い黒電話にかかってくる謎の声に悩まされる怪奇譚。その声は過去からのものだった。 熱湯をかける場面で一瞬、電話の「向こう側」を挿入…

秘密のかけら

2015/7/23鑑賞 監督:アトム・エゴヤン 通俗的な物語を介して、イメージ論を語っているかのような映画。 Yahoo!Japan映画のあらすじによれば、アリソン・ローマン扮するジャーナリストが、ショウビズ界に起きたスキャンダルの真相に迫る、とのこと。ケヴィン…

華氏451度

2012/7/22鑑賞 監督:フランソワ・トリュフォー 自分が初めて見たトリュフォーだけど、なんだこのヒッチコックは、というぐらいヒッチコックの模倣ばかりで出来ていて吃驚した記憶がある。 撮影監督にニコラス・ローグ。 スピルバーグが『マイノリティ・リポ…

ダイアナ

2016/5/26鑑賞 監督:オリヴァー・ヒルシュピーゲル ウェールズ公妃ダイアナの最後の2年間を描いた伝記映画で、ダイアナ役はナオミ・ワッツ。 15年程度しか経っていない事件に対して企画を立てるというのもどうかと思うが、素材としても意外に難しい題材…

悪党に粛清を

2016/5/16鑑賞 監督:クリスチャン・レヴリング デンマーク産西部劇なので、主人公はデンマーク移民という設定で、実際にデンマーク出身のマッツ・ミケルセンが主演。上映時間は90分台。 そのせいか、風味はマカロニウエスタンで、列車の到着、戸口から見え…

10番街の殺人

2016/1/8鑑賞 監督:リチャード・フライシャー リチャード・アッテンボロー扮する「絞殺魔」と、その犠牲となった若夫婦のお話が基本的な本筋。『絞殺魔』とか『静かについて来い』とか、こういうの好きよねフライシャーって。 なお、女性を横たえようとする…

イグジステンズ

2013/12/23鑑賞 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 脊髄にバイオポートという穴を開け、生体ケーブルを挿しこみ、ゲームポッドと人体を直接つないでプレイするヴァーチャルリアリティーゲームが流行している未来で、アンテナ・リサーチ社から発売される、…

それでも夜は明ける

2014/4/6鑑賞 監督:スティーブ・マックイーン 自由黒人だったのに誘拐され、南部の農園に売られて黒人奴隷にさせられたソロモン・ノーサップの伝記に基づいた映画。 牧歌的光景と地獄が交互に(そして同時に)現れては、それが音楽や絵作りによって繰り返し…

ANON アノン

2020/06/11鑑賞 監督:アンドリュー・ニコル 映画において、拳銃は視線を可視化する小道具で、本作でもそれは殺人犯のPOVショットにはっきりと現れている。 だからこそ、終盤になって、視線とまったく違う方向を撃つクライヴ・オーウェンが新鮮に映る。あと…

トレイン・ミッション

2018/3/31鑑賞 監督:ジャウム・コレット=セラ コレット=セラとリーアム・ニーソンのタッグ4作目で、面白かった。特に最初に出てくる死体にはびっくりした。 列車という物体を扱う際、ポン・ジュノだったら縦に細長い空間を縦に動くのだが(その例外とし…

見えない恐怖

2016/2/3鑑賞 監督:リチャード・フライシャー 叔父一家で暮らす盲の少女がある日帰ると、一家が惨殺されているのだが、盲なので気がつかないというアイデアで撮られた映画。 ちなみに殺人犯はブーツを履いた足だけが映される。足だから表情はない。 発見さ…

ラッシュ/プライドと友情

2014/2/10鑑賞 監督:ロン・ハワード ロン・ハワードが本気で映画を撮るとこうなるのか、という凝りよう。 陽炎、雨、ピントボケ、の視界不良にイライラ、ハラハラするが、それが正しくF1レーサーのストレスへと貢献する作りになってる。 アレクサンドラ・…

マリリン 七日間の恋

2013/8/3鑑賞 監督:サイモン・カーティス 素晴しい。川で泳いだデートの後の、疲労感を湛えた車内に差しこんでくる夕方の日の光に目を奪われた。あそこが飛び抜けて凄い。 基本的に主人公は「覗く人」であり、誰もがマリリン・モンロー(ミシェル・ウィリア…

召使

2016/9/11鑑賞 監督:ジョセフ・ロージー すごいな。狭いはずの室内で、フレーム内フレームを駆使し、人間の顔をカメラ近くに置き、階段や鏡を使って、バロック的に豪華絢爛で広大な空間を造形している。 召使と主人のパワーバランスの変化が見どころ。最後…

恐喝(ゆすり)

2014/1/22鑑賞 監督:アルフレッド・ヒッチコック アニー・オンドラがヒッチコック女優の中でもトップクラスに美しい。 ヒッチコックはサイレント時代から音に溢れているが、トーキー第一作だけあって音に対する目配せが至る所にある。 ピアノ、口笛、鼻歌、…

フューリー

2014/12/1鑑賞 監督:デビッド・エアー エアーが脚本を担当した『トレーニング デイ』と比較すると、一人の人物(本作ではブラッド・ピット)に善悪の両方を統合させるというキャラクター造形が、あまり上手くいっていないように見える。 お話は古典的。メッ…

ゴッホ~最期の手紙~

2017/11/04鑑賞 監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン 全編が動く油絵という驚くほど贅沢なアニメーションだけど、その殆どが役者の肉体・演技のトレースになっていて、内容もゴッホの死を巡る「藪の中」という趣向で、ほぼ聞き取り調査に終始する…

フランス外人部隊 アルジェリアの戦狼たち

2021/1/24鑑賞 監督:マーティン・ユベルティ 大まかに、アルジェリア戦争中の1960年から、反ドゴール反乱が失敗するところまでをフランス外人部隊に入隊した一人のイギリス人兵士の視点から扱った映画。ポール・フォックスが主演で、その戦友をトム・ハーデ…

エクソダス:神と王

2016/2/28鑑賞 監督:リドリー・スコット モダンな『十戒』。カメラの解像度が高いせいか、画面のルックは硬質かつクリアで現代的だ。 神話はほどよく合理化されており、ラムセス王とモーセの戦いは対テロ戦争の諸相を示しているし、イスラエルの神のもたら…

アンデッド・ソルジャーズ

2016/1/28鑑賞 監督:マーク・ナトール 『ファーゴ』のように「実話に基づいた物語」というテロップが出されるが、そのくせ実話を装う気がさらさらなく、ナチスドイツ×オカルトホラーをやり始めてラストも収集はつけるつもりがない。 ヒムラーの指令書を持っ…

ワールド・ウォーZ

2017/8/15鑑賞 監督:マーク・フォースター マックス・ブルックスの小説『WORLD WAR Z』の映画化だが、世界規模のゾンビものという以外に共通点はほとんどなく、まったくの別物だと思った方がいい。 非常に移動の多い映画で、しかも世界規模だし、移動のきっ…

縞模様のパジャマの少年

2017/8/2鑑賞 監督:マーク・ハーマン 美しかった。冒頭から目を惹きつける映像だ。飛行機ごっこをして遊ぶ少年たちを捉えた躍動的な移動撮影から、きっちりと真横から撮られた絨毯を畳む仕事風景、そしてピカピカに磨き上げられた食器を整然と並べるショッ…

できごと

2018/03/19鑑賞 監督:ジョセフ・ロージー 面白かった。 冒頭、事故で横転した自動車をガラス張りの箱として扱い、そこに動かない人間が詰め込まれているといった感触の撮り方。ショーウィンドウのマネキンを転がしたような独特の不気味さがあった。 トラウ…

ザ・シャウト/さまよえる幻響

2016/8/27鑑賞 監督:イエジー・スコリモフスキ ある精神病院にやってきた男が、患者たちのクリケットを見ながら、声で人を殺せると宣言する男の話を聞く。その話とはこうだ。とあるオルガン弾きの男のところに、18年間暮らしたオーストラリアで魔術を覚え…

ベイビー・ドライバー

2017/8/21鑑賞 監督:エドガー・ライト 音楽との同期というより、最初に完璧な同期を見せておいて、それがズレていくことに主眼がある。あるいは音楽に夾雑物が入ってくるところを見せることによって段々と事態がコントロールから外れていっていることを演出…