呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

2021-01-18から1日間の記事一覧

サイド・エフェクト

2017/09/25鑑賞 監督:スティーヴン・ソダーバーグ 精神科医と弱者女性という二人が、手段を選ばず持てるカード全てを使って殴りあうというのは楽しい。 ずり上げの多用と白昼夢っぽい映像のさらさら感。何もつかみどころがなく流れていく。唯一、鏡に映った…

できごと

2018/03/19鑑賞 監督:ジョセフ・ロージー 面白かった。 冒頭、事故で横転した自動車をガラス張りの箱として扱い、そこに動かない人間が詰め込まれているといった感触の撮り方。ショーウィンドウのマネキンを転がしたような独特の不気味さがあった。 トラウ…

寄生獣

2018/08/07鑑賞 監督:山崎貴 よく出来ているし楽しんだ。 母親との感情の繋がりは手のクローズアップに収める。寄生生物には協調性がないから会話中も互いを見ないで別々の方向を向いている。どちらも映画的な美点だ。 水族館にて「一クラス3秒で皆殺しに…

忠臣蔵外伝 四谷怪談

2017/1/21鑑賞 監督:深作欣二 見た人がみんな高岡早紀のおっぱいにばかり言及する怪作だが……絵作りはされていて、狭い構図で役者をとにかく動かすので面白い。首はごろごろ転がっていく。吉良家討ち入りのところで、お岩さんが特殊効果でバーンっと大活躍し…

間諜X27

2017/11/17鑑賞 監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ 主演はマレーネ・ディートリヒ。 照明が、非常に凝っていて影がいたるところに落ちている。ディゾルブも多いが、これはあまり好きではない。 冒頭では、間諜の道を薦めてくる老いた男を追い出したあと…

ザ・コンサルタント

2017/7/15鑑賞 監督:ギャビン・オコナー コミックヒーロー的なアクション映画と、自閉症のプレゼンテーションが混ざったような変な映画。自閉症=天才みたいな描き方はコミックの設定としてはいいけど、啓蒙的な意図があるなら不味いんじゃないだろうか。適…

青い青い海

2016/12/11鑑賞 監督:ボリス・バルネット 言わずと知れた傑作で、野外で撮影されたとは信じられないほど奇跡的に美しいショットばかり出てくる。 液体でできた鏡のごとき海。ほとばしる陽光。涙のようにこぼれる真珠。

新選組始末記

2017/1/13鑑賞 監督:三隅研次 まことに贅沢ながら、三隅のベストラインから比較すると陰影や人工性など、ショットが弱いと感じてしまう。けど、面白かった。三隅で実録ものって新鮮だな。 容易に男女を見つめ合わせたくないという演出方針が見える。最初の…

インディアン渓谷

2016/12/4鑑賞 監督:ジャック・ターナー ドロドロとした人間関係、血みどろの喧嘩、人民法廷、インディアンの容赦のない襲撃、などが水辺や紅葉した森といった美しい風景の牧歌的な生活のなかで描かれていく。そして劇的な場面は省略する。ターナーらしい上…

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

2016/12/18鑑賞 監督:ギャレス・エドワーズ 劇場で見たことを後悔するほどつまらなかった。室内照明が酷くて、画面が暗すぎ、どこを見ればいいのかがわからない。芝居に興味がないのか役者が棒立ちできつい。主役が主役の顔じゃないし、ドニー・イェン以外…

恐怖のまわり道

2016/12/10鑑賞 監督:エドガー・G・ウルマー しかめっ面で激しいピアノを弾くトム・ニールに笑っていたら、いきなりの雨でヒッチハイクを断ち切り、天候も車もジャンルも変形する。冗談のように訪れる死。ダメ押しの悪女はまったく反論を許さない。 どう考…

顔のない眼

2016/7/8鑑賞 監督:ジョルジュ・フランジュ 画面で起きていることもさほど多くなく、この脚本のテンポは辛かった。 詳細な皮膚移植手術をかなり直接的に映すところや、失敗した顔面が時間とともに崩壊していく記録写真の場面など趣味嗜好を表現するところは…

マイレージ、マイライフ

2016/7/11鑑賞 監督:ジェイソン・ライトマン 家族愛のハッピーエンドを用意してもまるで信じていなさそうだった『サンキュー・スモーキング』の冷笑的態度からは離れ、今回は孤独の色が強く出ている。そのせいで、ちょっと内省的になって平凡に寄ったと思う…