呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#1940年代

スカーレット・ストリート

2018/10/17鑑賞 監督:フリッツ・ラング 銀行で真面目に勤め上げてきた冴えない中年サラリーマンのクリス・クロスは、暴漢に襲われている美女キティ・マーチを助ける。女優を自称するキティに魅了されたクリスは、とっさに自分が金持ちの画家だと嘘をついて…

廃墟の群盗

2018/8/28鑑賞 監督:ウィリアム・A・ウェルマン 銀行強盗をはたらいた連中が、娘と老人しか住んでいないゴーストタウンにたどり着く。そこで実は二人が黄金を採掘していると聞きつけた悪党どもが、案の定良からぬことを企むのであった。 めちゃくちゃ面白か…

私の名前はジュリア・ロス

2018/12/18鑑賞 監督:ジョセフ・H・ルイス 家賃を滞納する下宿人ジュリア・ロスは、あるとき職業紹介所で待遇のいい秘書の求人が出ていることを発見する。面接を受けると話はとんとん拍子に進み、その日のうちに荷物を持って家に来るように言われそのとお…

幸福の設計

2016/4/9鑑賞 監督:ジャック・ベッケル いわゆる宝くじ映画なんだけど、ほんとに大したことはなにも起こらない。若い夫婦が宝くじに当たる→なくす→落ち込む→見つかる→ハッピーエンド。あとは妻に言い寄る男との筋くらい。本筋が弱いから脇役がプロットに大…

犯罪王ディリンジャー

2017/4/20鑑賞 監督:マックス・ノセック なんでデリンジャーがガスを使うんだ? めっちゃフリッツ・ラングっぽい画面だなと思っていたら『暗黒街の弾痕』からのフィルムの流用だった。 デリンジャー役のローレンス・ティアニーはベン・アフレックに似ている…

2019/03/05鑑賞 監督:ロバート・ワイズ ボクシングの八百長試合を組まれた中年ボクサーの話。 リアルタイム映画ということでハリウッドの古典的な話法から外れて、ただ時間だけが経過するようなカットがいくつもある。つまりモダンな語りということで、タラ…

ヒズ・ガール・フライデー

2012/10/15鑑賞 監督:ハワード・ホークス ホークスらしいハント(狩り)のお話。好きな女を捕まえるという目的に、手段を選ばないという制限解除を与えただけで、ここまで何でもないお話が転がりに転がり、面白くなるというのは感動的だ。そして、弾丸のよ…

犯罪河岸

2015/10/24鑑賞 監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 野心家で好色そうに見えるが実は夫一筋のシュジ・ドレール、前頭ハゲで冴えないからか嫉妬に狂うベルナール・ブリエ。実はその前頭ハゲに思いを寄せている幼馴染シモーヌ・ルナン。この三角関係に、と…

インディアン渓谷

2016/12/4鑑賞 監督:ジャック・ターナー ドロドロとした人間関係、血みどろの喧嘩、人民法廷、インディアンの容赦のない襲撃、などが水辺や紅葉した森といった美しい風景の牧歌的な生活のなかで描かれていく。そして劇的な場面は省略する。ターナーらしい上…

恐怖のまわり道

2016/12/10鑑賞 監督:エドガー・G・ウルマー しかめっ面で激しいピアノを弾くトム・ニールに笑っていたら、いきなりの雨でヒッチハイクを断ち切り、天候も車もジャンルも変形する。冗談のように訪れる死。ダメ押しの悪女はまったく反論を許さない。 どう考…

恐怖省

2018/1/8鑑賞 監督:フリッツ・ラング 凄まじい傑作。ほぼ全編にわたってみなぎる霊気というか、いまにも幽霊が出そうな感じがやばかった。扉が出てくるシーンはすべてもうただ事ではない。 どの場面も照明による影のつけかたやレイアウトが漫画のように完璧…

七月のランデヴー

2017/1/10鑑賞 監督:ジャック・ベッケル 痛ましさも爽やかさもある青春群像劇。前半、電話のシーンがかなり続くため、視線も空間も生じなくてかなりじれったい気分になる。クラブの場面では前後左右上下が入れ替わりまくるダンスが、カメラに当たりそうなく…

白熱

2016/5/5鑑賞 監督:ラオール・ウォルシュ すこぶる面白い。破壊の連発。下品な女を美しく撮る。母の死を知ったジェイムズ・キャグニーが食堂で泣き叫ぶところは、エキストラにわざと事前説明をしていなかったか何かで、盗み撮りのようなリアルさが出ている…

静かについて来い

2015/8/1鑑賞 監督:リチャード・フライシャー 『絞殺魔』の原型。 犯人探しに執着するあまり、刑事は犯人のマネキン人形を作ってしまう。雨の映画だし、女性記者との無言の切り返しがあるし、マネキン人形は不気味だし、なんというか官能的な雰囲気のある映…

白い足

2016.2.3鑑賞 監督:ジャン・グレミヨン 人々が分不相応なものを夢見ることで、やがて、ろくでもないことを引き起こす舞台装置がかちかちと配置されていく。 魚臭い主人にのしかかられてふと白痴のように固まる情婦。あるいは、城の跡取りに贈られたオルゴー…