呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#か行

カード・カウンター

2024/4/19鑑賞 監督:ポール・シュレイダー オスカー・アイザック主演。過去にアブグレイブ刑務所で拷問官を務めていた男が、そこでの所業が明るみになって服役したのち、現在はカジノで出禁にならないよう、ほどほどに稼ぐことで生活の糧を得ていたが、、、…

ゴーストシップ

2013/09/13鑑賞 監督:スティーブ・ベック 西暦1962年5月、アメリカへ向けて出航したイタリアの豪華客船アントニア・グラーザ号が突如消息を絶った。それから40年後、海難救助や船のサルベージ等を請け負っているアークティック・ウォリアー号のクル…

君たちはどう生きるか

2023/7/23鑑賞 監督:宮崎駿 戦時中、火災で母親を亡くした少年(牧眞人)が田舎に疎開するとそこには父の再婚相手(死んだ母親の妹で瓜二つ)がいて、転校先で早々に喧嘩をした上に自傷行為までしたので臥せっていると何やら怪しげなアオサギに誘われ、つい…

ケイコ 目を澄ませて

2022/12/26鑑賞 監督:三宅唱 音から入ってくる映画で、映画館で見ることを前提にした映画を久々に見たような気がする。 『LOFT ロフト』を思わせるような、冒頭の鏡に顔を映したショット。そして『ボクシング・ジム』を思わせる導入部。 ケイコ(岸井ゆきの…

キャッシュトラック

2022/1/9鑑賞 監督:ガイ・リッチー ロサンゼルスにある現金輸送専門の警備会社フォーティコ警備は、襲撃事件で生じた欠員を補うためパトリック・ヒルというイギリス人を採用する。ヒルは倒産したオレンジデルタ警備に所属していた経験者で、採用試験の成績…

キートンのセブン・チャンス

2013/9/29鑑賞 監督:バスター・キートン わざわざ椅子を用意したのに座らないのかよ、という場面からキートンだ。 何時何時までに結婚したら遺産が転がり込むという話があって、金目当ての花嫁が殺到するので逃げに逃げまくるキートンなのだが、物語はやが…

赤い女(『鬼談百景』所収)

2018/7/28鑑賞 監督:大畑創 黒沢清「花子さん」に似た赤い女が出てくるのだが、まったくの別物に仕上がっている。 赤い女の都市伝説を話したら、その話に出てくる「赤い女」が本当に現れる・・・というそれ自体はよくある構造の怪談なんだけど、その「赤い…

影男(『鬼談百景』所収)

2018/7/28鑑賞 監督:安里麻里 何かが出てきそうな窓越しの景色がゆっくり暗くなっていく。男が「ガン、ガン」と外から窓を殴りつけている様子がナチュラルに怖い。 寝落ちの導入もよかったし、編集にも緊張感があって怖かった。無駄がなく、スキルフルな印…

『ゴジラS.P』第11話「りふじんながくふ」

2021/6/2鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 前2話とは少し雰囲気が変わって、過去に出た要素の回収というよりも、新しい要素を出して最終回に向けての準備を進めていくような話だった。恐らくこれが最後の繋ぎ回だろう。 冒頭、胡散…

『ゴジラS.P』第10話「りきがくのげんり」

2021/5/28鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 第9話で命の危機に瀕したはずの李博士と、マキタ、神野銘がどこかの風変わりなレストランで食事をとっているシーンから始まる。いささか唐突なこの場面は、おそらくは回想シーンであるの…

『ゴジラS.P』第9話「たおれゆくひとの」

2021/5/13鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 前回に続き、今回も冒頭はゴジラと自衛隊の場面からはじまる。紅塵に包まれた東京で、硬化したゴジラに爆弾が投下される(前回のニュース映像によればレーザー誘導され…

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣

2016/9/3鑑賞 監督:ポール・バーホーベン 卑しい顔をした聖職者が聖餅を配っているすぐ横では腹の出た女が酒をふるまっている戦場の混沌で、街を奪われた領主アーノルフィニは「なにをやってもいい」と傭兵どもを煽ることで、残虐の限りを尽くして街を取り…

『ゴジラS.P』第8話「まぼろしのすがた」

2021/5/13鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。5~7話の記事がない?知らない子ですね。 冒頭では『シン・ゴジラ』的な、ゴジラと自衛隊との戦闘シーンがはじまる。戦車砲の集中砲火を受けてもゴジラはダメージがあ…

恐怖の土曜日

2017/4/6鑑賞 監督:リチャード・フライシャー とても視覚的な映画で素晴らしかった。 フランス版ではフリードキンがこの映画について語っているらしい。今回はポニーキャニオンから販売されたブルーレイで見たのだが、ものすごく解像度が高くてディティール…

華岡青洲の妻

2017/5/1鑑賞 監督:増村保造 姑と嫁が、医者の旦那の麻酔薬人体実験の被験体になろうとする謎バトルが展開されるので、見ていると異様な感覚になってくる。 脳を麻酔に侵された猫が四肢を悶えさせるところもやばい。動物実験パートはワイズマンの『霊長類』…

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール

2016/2/15鑑賞 監督:スチュアート・マードック 久々に5分でリタイア。そもそもエミリー・ブラウニングの顔が好きではないところに、冒頭のショットで額に皺が寄っているところと、こけた頬を見せられて耐えられなくなった。

恐怖ノ黒電話

2013/12/29鑑賞 監督:マシュー・パークヒル 離婚して転居してきた女性が、引っ越し先の家にすでに据え付けられていた古い黒電話にかかってくる謎の声に悩まされる怪奇譚。その声は過去からのものだった。 熱湯をかける場面で一瞬、電話の「向こう側」を挿入…

くちづけ

2016/11/15鑑賞 監督:増村保造 川口浩がひねくれた正直者で、野添ひとみが素直な正直者。親が牢にぶちこまれているのだが、それでも湿っぽくならないキャラクターである。一本調子でドライな演出がこの頃からすでにあった。 お冷を貰うために川口の方にコッ…

コントラクト・キラー

2015/2/18鑑賞 監督:アキ・カウリスマキ 長年務めた職場を解雇されて絶望した主人公が、殺し屋に自分自身の暗殺を依頼する。しかし、その後パブで花売りの女性と恋に落ちて生きる希望を見出してしまい、自らが差し向けた殺し屋をどうかいくぐるのかに悩むこ…

『ゴジラS.P』第4話「まだみぬみらいは」

2021/4/15鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 アーキタイプと呼ばれる「存在しない物質」の説明をして、必要なキャラクターを残り全部まとめて出す、繋ぎ的な回だがやはりとても面白い。李博士に呼ばれてドバイまで…

『ゴジラS.P』第3話「のばえのきょうふ 」

2021/4/8鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 超たのしい。バス・室内に翼竜に侵入される恐怖という点で『ジュラシック・パーク』シリーズを、弓矢の使用という点では『グエムル』を連想したけど、「脚本;円城塔」…

2016/2/7鑑賞 監督:三隅研次 原作が三島由紀夫で、主演が市川雷蔵。三島らしく実よりも美学を取るストーリーと、どんな脚本でも美にこだわる三隈研次という感じで相性が良さそう。 一言でいえば、日本の狂った体育会系(剣道部)がひたすらに怖いという映画…

華氏451度

2012/7/22鑑賞 監督:フランソワ・トリュフォー 自分が初めて見たトリュフォーだけど、なんだこのヒッチコックは、というぐらいヒッチコックの模倣ばかりで出来ていて吃驚した記憶がある。 撮影監督にニコラス・ローグ。 スピルバーグが『マイノリティ・リポ…

刑事グラハム/凍りついた欲望

2013/11/25鑑賞 監督:マイケル・マン 夜景、海の見える家、白く、蒼い画面、美への執念。 シネスコと大きな窓ガラスがあり、その窓ガラスを通して視線が欲望として顕現し、果てに暴力へと結実する。 『コラテラル』の殺し屋にそっくりなウィリアム・L・ピー…

狂気の行方

2014/5/31鑑賞 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 実母を殺害した立てこもり犯の話で、動きがほとんど全くない映画である。HOWではなくWHYを追うので腰を据えて小説でも読んでいる気分になるし、オチも脱力させられる。 活劇を予感させながらすべてをハズして…

『ゴジラS.P』第2話「まなつおにまつり」

2021/4/1鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 第1話と比べると、アクションシーンが増えてセリフの量がやや抑えられてはいるが、タメが長かった前話とは違い、出し惜しみなくスピード感のある語りで一息にエンディ…

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

2019/6/12鑑賞 監督:マイケル・ドハティ 良かったところ ギドラの首ごとに性格がある描写 ギドラの決め画は全ていい ラドン飛翔で吹き飛ぶ地上の人々 伊福部のテーマ モスラ(成虫)誕生シーン(でやたらに笑顔の黒人) 米軍を引き連れてギドラしばきにやっ…

『ゴジラS.P』第1話「はるかなるいえじ」

2021/3/26鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 興奮して書きなぐっているから、多分見た人にしか何言っているのかわからないだろうと思う。 情報量が『四畳半神話大系』並みに多くてとても面白かったが、結構タメが長くて他の人がどう見…

斬る

2014/2/12鑑賞 監督:三隅研次 人間が縦に真っ二つになる場面がある。 1時間ちょっとで男の一生を語っているためか、説話がとても奇妙なものに感じられる。 三隅研次らしい前衛的なオープニングで始まったかと思いきや、前半は馬鹿みたいなホームコメディが…

殺しの烙印

2018/1/19鑑賞 監督:鈴木清順 映画前半は、ラフに撮られたカットと、人工的にきっちり決めたカットが混在していて楽しい。同じようなカットを使わないためにひたすらアイデアを尽くしているところもいい。次のカットがとにかく読めなくて、例えば、スピンし…