呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#2000年代

シンデレラマン

2024-03-07鑑賞 監督:ロン・ハワード 大恐慌時代のアメリカ、落ち目のボクサー、ジェームズ・J・ブラドック(ラッセル・クロウ)はライセンスを剥奪され、日雇いの港湾労働者として配給に並び、ボクサー時代の仕事仲間に物乞いをしにいき、電気さえ止めら…

ファイナル・デッドコースター

2018/04/12鑑賞 監督:ジェームズ・ウォン とある高校の卒業イベントが開かれている遊園地で、凄惨な事故を予知した少女はジェットコースターを降りて助かるが、残念ながら彼氏は助からなかったのでずいぶんと落ち込んでしまう。そして、少女のおかげで助か…

ファイナル・デッドサーキット 3D

2018/04/12鑑賞 監督:デヴィッド・R・エリス 例によって例のごとく、サーキット場で激しいクラッシュ事故を予知した少年が現れ、例によって例のごとく、それが現実となるので、例によって例のごとく、10名の男女が無事に生き延びるのだが、例によって例…

ミッドナイト・ミート・トレイン

2018/08/17鑑賞 監督:北村龍平 タブロイド紙に写真を売るレオン。その恋人のマヤは、画商のジャーギスを通してやり手の女性画商スーザン・ホフと会うことになったと言い、2人は警察無線の盗聴や特ダネ写真とおさらばできると喜ぶのだが、レオンの写真はス…

ゴーストシップ

2013/09/13鑑賞 監督:スティーブ・ベック 西暦1962年5月、アメリカへ向けて出航したイタリアの豪華客船アントニア・グラーザ号が突如消息を絶った。それから40年後、海難救助や船のサルベージ等を請け負っているアークティック・ウォリアー号のクル…

エスター

2015/3/17鑑賞 監督:ジャウム・コレット=セラ 2回くらい見ているはず。 カットはかなり割ってるけど見づらいわけではなく、前後のカットでの変化も大きいので視覚的にもスピード的にもあまり飽きが来ない。現代の娯楽映画はこのくらいの塩梅でいいんじゃ…

レディ・イン・ザ・ウォーター

2022/5/6鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 2回目か3回目。良い。 『ヴィレッジ』や『オールド』のような種明かしのない、純粋なおとぎ話であり、通常ほどこされるようなリアリティに関する注意、配慮がほとんど意図的に放棄されている。つまり、良識のあ…

フレフレ少女

2022/6/30鑑賞 監督:渡部謙作 毒にも薬にもならない青春映画です、という顔をしていながら実は凝った映画だったということはままあるが(例:『奈緒子』)、これもそういう一作。 小説の中の恋に憧れる高校生、百山桃子はあるとき野球ボールを頭部に受けて…

呪怨 黒い少女

2022/2/13鑑賞 監督:安里麻里 時系列や視点をバラバラにして、怪奇現象に襲われる短い挿話を束ねたような形式(これ自体は呪怨シリーズ共通)や、デジタル撮影の画面のきつさ(黒の多いカラー映画)、そもそも低予算であること、救いのない展開、などなどが…

ヴィレッジ

2015/11/6鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン シャマランの撮るハイファンタジーが見たい、と思わせる、見事なまでの演出と絵作り。脂が乗っている。シャマランの最高傑作のひとつだと思う。 シャマランの特徴として、垂直に伸びる縦の構図、演出が挙げられる…

ユナイテッド93

2016/3/16鑑賞 監督:ポール・グリーングラス まず目につくのは、プロフェッショナルの不在。ハイジャック+自爆テロという現象に対して、乗客はもちろん、管制塔も軍も、そして犯人側も十分な訓練を受けていない。したがって描かれれるのは手ぶれカメラによ…

ビッグ・フィッシュ

2017/2/5鑑賞 監督:ティム・バートン これはちょっと優しすぎて好みではなかった。 あと、複雑な語りを展開する話は、どうしても映画の素材が記号であり物質でもあることと相性が悪いと思ってしまう。要するに、複雑な語りの技法を使われると(特に本作のよ…

レインディア・ゲーム

2017/2/20鑑賞 監督:ジョン・フランケンハイマー ベン・アフレックとシャーリーズ・セロンが出演しているので見た。何気にダニー・トレホがいる。クリスマス映画。 出所したルーディ(ベン・アフレック)は、ムショで一緒だった男の文通相手(シャーリーズ…

PTU

2021/06/06鑑賞 監督:ジョニー・トー 香港のある街を舞台にした一晩の映画。 組織犯罪課に所属するサー刑事はある晩、自動車に傷をつけたチンピラを追跡中に転んだところを袋にされ、気絶してしまう。やがてPTUに発見されたときには拳銃を失くしてしまって…

レディ・アサシン

2013/5/4鑑賞 監督:オリヴィエ・アサイヤス 傑作。原題は"Boarding Gate"。 元娼婦のサンドラ(アーシア・アルジェント)が、やや不本意な形で人殺しになる。 映画冒頭、金属のドアがひしぐ音を聞いた瞬間に気づいたのは、画面のフレーム内全てにピントが合…

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

2013/9/26鑑賞 監督:マルコ・ベロッキオ 邦題の通り、ムッソリーニの最初の妻になった女性の波乱万丈の人生(実話)を描く作品。 滅茶苦茶面白い。非現実的な画面作り楽しい。カメラ、演技、演出のテンションが異常に高くて、時折殆ど歌劇のようだ。 人物を…

セルラー

2016/12/2鑑賞 監督:デヴィッド・R・エリス 完璧なジェットコースタームービーで、死ぬほど面白かった。 誘拐された女性が、偶然繋がった携帯電話の青年に助けを求めるというサスペンス映画で、女性がキム・ベイシンガー、青年がクリス・エヴァンス、誘拐…

秘密のかけら

2015/7/23鑑賞 監督:アトム・エゴヤン 通俗的な物語を介して、イメージ論を語っているかのような映画。 Yahoo!Japan映画のあらすじによれば、アリソン・ローマン扮するジャーナリストが、ショウビズ界に起きたスキャンダルの真相に迫る、とのこと。ケヴィン…

P2

2016/6/6鑑賞 監督:フランク・カルフン イヴに残業で夜遅くまで会社に残ってしまった美女(レイチェル・ニコルズ)が、ストーカーの変態警備員(ウェス・ベントリー)に監禁されるという話。またこういう役やってるんだね、ウェス・ベントリー。 (逆説的だ…

夜よ、こんにちは

2013/11/18鑑賞 監督:マルコ・ベロッキオ 傑作だ。 歴史さえ、視点と空間を限定することによって現在の物語として、そしてフィクションとして撮ることができるし、偏った視点こそフィクションなのだということを思い知らされる。 実際にあった事件を題材に…

狂気の行方

2014/5/31鑑賞 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 実母を殺害した立てこもり犯の話で、動きがほとんど全くない映画である。HOWではなくWHYを追うので腰を据えて小説でも読んでいる気分になるし、オチも脱力させられる。 活劇を予感させながらすべてをハズして…

ラヴソングができるまで

2021/3/14鑑賞 監督:マーク・ローレンス 80年代に一世を風靡したバンドPoPの元ボーカルであるアレックス(ヒュー・グラント)も今では落ち目の元スター。ソロアルバムも酷評を受けあと、同窓会や遊園地を興行して回ることで糊口をしのぐ毎日だった。そんな…

エレニの旅

2014/2/7鑑賞 監督:テオ・アンゲロプロス 壁抜けの撮影も一つのショットとして数えると、総ショット数は97だろうか。100前後なのは確かだ。170分の映画でこのカット数の少なさ。 大俯瞰を撮る時は、人をシルエット同然にするため黒い服を着せるべし、あるい…

ゾディアック

2016/09/16鑑賞 監督:デヴィッド・フィンチャー 1960年代終わりから1970年代に実際に起きた「ゾディアック事件」の関係者の顛末を年代記的に語った実録犯罪映画で、ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニーJrが出演する。 要するに、…

2017/05/20鑑賞 監督:ジョルジュ・シュヴィツゲベル やばかった。人間にコントロールできるとは思えないほど複雑な立体の回転を複数同時に別々の動きで動かしている。この人の作品の中でもかなり複雑なので対象の把握や理解が追いつかず、ひたすら圧倒され…

エレクション 死の報復

2020/04/11鑑賞 監督:ジョニー・トー 鈍器と刃物だけで構成された凄惨なヤクザ映画。毒々しい緑と、深い黒も映画の凄惨さによく似合っている。 ほとんど説明なく展開して、息が詰まるような緊張感がずっと続く。その中でニック・チョンとルイス・クーの関係…

チェイサー

2020/9/15鑑賞 監督:ナ・ホンジン 基本的にやっていることはミッドポイントを通常よりも前倒しにして、2回作ること。これを学習して『ファイアパンチ』と『チェンソーマン』を描いた藤本タツキの応用力の高さに驚く。 2回目のミッドポイント(?)がちょ…

世界の終り

2013/9/26鑑賞 監督:ジョン・カーペンター 見た人間を発狂させる幻のフィルムを追うというストーリー。 とても面白かったが、どうしてなのかが分からない。とんでもないことが起こっており、しかもそれが映画の嘘だということは分かりきっているにも関わら…

キル・ビル Vol.1

2013/8/21鑑賞 監督:クェンティン・タランティーノ 第一章の脚本の流れがタランティーノ流の引き伸ばし演出の典型例になっている。 後半に入るとちょっとその引き伸ばしぶりが無くなって単調。 階段を一段も飛ばさずに高速で駆け下りてくるクレイジー88が…

サイレントヒル

2013/5/19鑑賞 監督:クリストフ・ガンズ ゴシックアート博覧会とでも言うべき美術の映画。ロングショットの多さとか、空間構造を見せようという気概もこれが美術の映画だからに過ぎず、説話的な部分、特に視点制御に関心が薄いように見えた。 例えば、「室…