呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

パリ・オペラ座のすべて

2016/6/23鑑賞

  • 監督:フレデリック・ワイズマン
  • その名の通り、パリ・オペラ座のバレエ団を密着取材したドキュメンタリー映画
  • 前半は、ひたすら指導を受け続けているうちにダンサーがまずよくわからなくなり、指導官もなんだかよくわからなくなってしまうという状況が繰り返し撮られる。
  • 指導するコーチ同士が喧嘩して、どういう指示を受ければいいのかわからなくなる場面があった。「この動作がよくわかりません」とコーチに尋ねるダンサーに対して、「ジャン・コクトーもこう言っている『解釈は観客に任せるんだ』」と応えるコーチ。受け続ける指摘に対して突然「それ初耳です」と以前の指示との矛盾を突くダンサー。なにをやるべきなのか誰も言語化できなくなる瞬間を、カメラが捉えている。
  • ディスコミュニケーションというよりもコミュニケーションの失敗を、言語の欠陥を発見するまで撮るというか。特にバレエのような、言語化しづらい身体知を扱う分野ではそういった面が強く出る。