呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#2020年代

カード・カウンター

2024/4/19鑑賞 監督:ポール・シュレイダー オスカー・アイザック主演。過去にアブグレイブ刑務所で拷問官を務めていた男が、そこでの所業が明るみになって服役したのち、現在はカジノで出禁にならないよう、ほどほどに稼ぐことで生活の糧を得ていたが、、、…

イコライザー THE FINAL

監督:アントワーン・フークア シチリアでマフィアを壊滅させた元CIA凄腕エージェントのロバート・マッコールは、不注意から負傷したのち、たどり着いた田舎町で療養する。その町で過ごすうちに住民と打ち解けていくのだが、そこには寄生虫のようにはびこる…

フェイブルマンズ

2024-01-01鑑賞 監督:スティーブン・スピルバーグ スピルバーグの自伝的作品だということと、(デイヴィッド・リンチが演じる)ジョン・フォードが出るという前情報をもって見た。 実のところどこまでが事実で、どこからが創作なのかは知らないのだが、全体…

アステロイド・シティ

2023/9/7鑑賞 監督:ウェス・アンダーソン 1955年、アメリカ南西部に位置するアステロイド・シティは、街というよりも、荒野にぽつんと現れたパーキングエリアと呼称したほうがよさそうな場所だ。施設は、ガソリンスタンド、モーテル、ダイナー、建設途中で…

ヴァチカンのエクソシスト

2023/7/23鑑賞 監督:ジュリアス・エイバリー ヴァチカンのチーフエクソシストとして、数多くの悪魔祓いの実績があるアモルト神父は、教皇からある少年の悪魔祓いを依頼される。 アモルト神父をラッセル・クロウが演じており、お茶目なキャラ付けが行われて…

君たちはどう生きるか

2023/7/23鑑賞 監督:宮崎駿 戦時中、火災で母親を亡くした少年(牧眞人)が田舎に疎開するとそこには父の再婚相手(死んだ母親の妹で瓜二つ)がいて、転校先で早々に喧嘩をした上に自傷行為までしたので臥せっていると何やら怪しげなアオサギに誘われ、つい…

X エックス

2023/6/26鑑賞 監督:タイ・ウェスト 1979年、テキサス。ポルノ映画の撮影にやってきた若い男女が、ロケ地として借りた田舎の家屋でポルノ映画の撮影をしていると、案の定酷い目に遭うという話。 蝿の羽音から入るファーストショットは、同じく音から入る『…

AIR/エア

2023/5/19鑑賞 監督:ベン・アフレック 根拠のないことを信じるアメリカ映画で面白かった。そしてワーカーホリックな仕事映画でもある。かなり透明ながら、のめり込んで一気に見れた。 一九八四年、ナイキのバスケットボール部門は青色吐息だった。競合のコ…

ケイコ 目を澄ませて

2022/12/26鑑賞 監督:三宅唱 音から入ってくる映画で、映画館で見ることを前提にした映画を久々に見たような気がする。 『LOFT ロフト』を思わせるような、冒頭の鏡に顔を映したショット。そして『ボクシング・ジム』を思わせる導入部。 ケイコ(岸井ゆきの…

ドライブ・マイ・カー

2022/10/15鑑賞 監督:濱口竜介 車の運転は運転でも、毎日の通勤の運転にともなうドライブの快楽にフォーカスが当たっていた。 異なる要素の同時成立という濱口映画のシステムが、演技の質の違いさえも取り込んで消化しており、非常にしみじみとスリリングだ…

ムーンフォール

2022/07/30鑑賞 監督:ローランド・エメリッヒ 本作のネタバレをしています。 前半のジェットコースター映画っぷりはよく磨かれた骨董品を眺めるような楽しさがある(都合のいい偶然、すれ違い、家族の離反、逆算の演出)。情報提示も効率的で無駄がないと感…

最後の決闘裁判

2022/5/29鑑賞 監督:リドリー・スコット 1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。 騎士カルージュの妻マルグリットが夫の旧友ル・グリに強姦されたと訴えるが、目撃者もい…

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

2022/5/8鑑賞 監督:ジョン・ワッツ 前作でミステリオによって全世界に正体が知られたピーター・パーカーは、恋人のMJ、親友のネッド共々大学受験に失敗し、第一志望のMITにも落とされてしまう。しかもマスコミやクラスメイトからはゴシップの種として追われ…

オールド

2022/3/9鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 2008年『ハプニング』、2015年『ヴィジット』以来のカルトなシャマランの気配が濃厚な新作であり、面白かった。強いて言えばちょっと長いかな。 時間が急速に経過するプライベートビーチという、特殊な閉鎖空間内…

キャッシュトラック

2022/1/9鑑賞 監督:ガイ・リッチー ロサンゼルスにある現金輸送専門の警備会社フォーティコ警備は、襲撃事件で生じた欠員を補うためパトリック・ヒルというイギリス人を採用する。ヒルは倒産したオレンジデルタ警備に所属していた経験者で、採用試験の成績…

モンタナの目撃者

2021/12/24鑑賞 監督:テイラー・シェリダン ある不正の調査を依頼された会計士は、ある朝ニュースで自分の依頼主が殺害されていることを知ると、身の危険を感じたのですぐさま息子を連れて逃亡を図るが、やがて差し向けられた追手の待ち伏せに遭い、反撃む…

マリグナント 凶暴な悪夢

2021/12/10鑑賞 監督:ジェームズ・ワン 重大なネタバレをしています。 3度繰り返した流産に悩んでいたマディソンは、ある日、夫との口論の末に壁に叩きつけられて後頭部を負傷してしまう。謝る夫をドアの向こうに拒絶して就寝した後、深夜に不審な物音で目…

アオラレ

2021/8/22鑑賞 監督:デリック・ポルテ 型落ちのボルボに乗った美容師のレイチェルは今日も寝坊。息子のカイルを学校へ送りながら職場へと向かうが、高速道路は大渋滞している。顧客からは遅刻を理由にクビとなり、最悪の気分のまま下道に出るが、信号待ちで…

『ゴジラS.P』第11話「りふじんながくふ」

2021/6/2鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 前2話とは少し雰囲気が変わって、過去に出た要素の回収というよりも、新しい要素を出して最終回に向けての準備を進めていくような話だった。恐らくこれが最後の繋ぎ回だろう。 冒頭、胡散…

『ゴジラS.P』第10話「りきがくのげんり」

2021/5/28鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 第9話で命の危機に瀕したはずの李博士と、マキタ、神野銘がどこかの風変わりなレストランで食事をとっているシーンから始まる。いささか唐突なこの場面は、おそらくは回想シーンであるの…

『ゴジラS.P』第9話「たおれゆくひとの」

2021/5/13鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 前回に続き、今回も冒頭はゴジラと自衛隊の場面からはじまる。紅塵に包まれた東京で、硬化したゴジラに爆弾が投下される(前回のニュース映像によればレーザー誘導され…

『ゴジラS.P』第8話「まぼろしのすがた」

2021/5/13鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。5~7話の記事がない?知らない子ですね。 冒頭では『シン・ゴジラ』的な、ゴジラと自衛隊との戦闘シーンがはじまる。戦車砲の集中砲火を受けてもゴジラはダメージがあ…

『ゴジラS.P』第4話「まだみぬみらいは」

2021/4/15鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 アーキタイプと呼ばれる「存在しない物質」の説明をして、必要なキャラクターを残り全部まとめて出す、繋ぎ的な回だがやはりとても面白い。李博士に呼ばれてドバイまで…

『ゴジラS.P』第3話「のばえのきょうふ 」

2021/4/8鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 超たのしい。バス・室内に翼竜に侵入される恐怖という点で『ジュラシック・パーク』シリーズを、弓矢の使用という点では『グエムル』を連想したけど、「脚本;円城塔」…

『ゴジラS.P』第2話「まなつおにまつり」

2021/4/1鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 第1話と比べると、アクションシーンが増えてセリフの量がやや抑えられてはいるが、タメが長かった前話とは違い、出し惜しみなくスピード感のある語りで一息にエンディ…

『ゴジラS.P』第1話「はるかなるいえじ」

2021/3/26鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 興奮して書きなぐっているから、多分見た人にしか何言っているのかわからないだろうと思う。 情報量が『四畳半神話大系』並みに多くてとても面白かったが、結構タメが長くて他の人がどう見…

ワンダーウーマン 1984

2021/3/9鑑賞 監督:パティ・ジェンキンス 以下、ネタバレを含んだ感想。 映画は過去の回想から始まる。女のアマゾン族が暮らすセミッシラでは競技会が開かれており、そこでは大人の戦士たちに交じって幼少期のダイアナがアスレチックめいた課題をこなし、海…

ザ・ベビーシッター ~キラークイーン~

2020/09/12鑑賞 監督:マックG いい部分もないではないけど、前作から20分ほど増えた上映時間が脚本の贅肉を増やしており、代わりに意味不明なテンションが増幅されて大変きつい。 ロケーションが街中から野外に移ったことも展開をだらしなく発散させている…

透明人間

2021/1/3鑑賞 監督:リー・ワネル 新年の映画初めは『透明人間』。完全にホラー映画だったので選択を間違ったような気がしないではない。 エリザベス・モス演じる主人公(セシリア)がなにやら深夜にこっそり自宅(豪邸)から逃げ出そうとしている、という場…

ブルータル・ジャスティス

2020.12.02鑑賞 監督:S・クレイグ・ザラー 前作『デンジャラス・プリズン』の無機質さはほとんど前衛的といっていいほどだったので、本作はかなりウェルメイドに思えた。 情報の取捨選択や出す順番が上手いので、先行きが微妙に読めずスリルが維持されてい…