呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

2021-01-16から1日間の記事一覧

ファンタスティック・フォー

2016/9/4鑑賞 監督:ジョシュ・トランク 製作の過程でかなり作家性を殺されたんだろうが、完全に事故・トラウマとして描写されるオリジンエピソードを中心に、陰惨でグロテスクなイメージがところどころに残っている。特に、岩に閉じ込められて「助けてリー…

ビリディアナ

2016/10/6鑑賞 監督:ルイス・ブニュエル 俗っぽくて、見やすいブニュエル。 脚から見せるカットが続くなと思ったら、ちゃんとビリディアナが脱ぐ、脚フェチショットが入る。 聖と俗の対比があちこちにあって、祈りの場面と、家を改築する工事のドロドロぐち…

悪魔の沼

2016/12/14鑑賞 監督:トビー・フーパー トビー・フーパー全開といった調子。展開にもうちょっとメリハリが欲しいけど、異様な質感の映像だった。ほぼセットでの撮影ということもあって、人工性が強く出ている。 妙な電子音楽が流れたり、悲鳴があちこちであ…

自由の旋風

2017/2/19鑑賞 監督:ダグラス・サーク アイルランド独立運動を題材にとった歴史コスプレエンタメ映画で、クオリティは高いと思うけど、いきなり殴り合いをはじめるようなアイルランドの牧歌的な粗暴さがサークの資質にあっていないように思えてアクション全…

イレブン・ミニッツ

2017/3/19鑑賞 監督:イエジー・スコリモフスキ 面白くなる気配がなかったので途中退出。

華岡青洲の妻

2017/5/1鑑賞 監督:増村保造 見ていると異様な感覚になってくる。姑と嫁が、医者の旦那の麻酔薬人体実験の被験体になろうとする謎バトルが展開される。脳を麻酔に侵された猫が四肢を悶えさせるところもやばい。動物実験パートはワイズマンの『霊長類』を思…

黒い絨毯

2017/5/11鑑賞 監督:バイロン・ハスキン 軍隊アリのパニック映画だが、エリノア・パーカーとチャールトン・ヘストンの恋愛がストーリーの大きい位置を占める。 女優を美しく撮ることについては、当時のスタジオの底力を感じた。 ダムを破壊したあとの濁流は…

高い標的

2016/9/16鑑賞 監督:アンソニー・マン リンカーンやピンカートンといった固有名詞にまつわる歴史はあまり反映されず、地味な列車サスペンスが展開される。この路線だと『その女を殺せ』と比べてしまうな。 境界を置いて、その両側の人間を撮ってバレるかバ…

ヴィジット

2016/9/13鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 要素要素は平凡なんだけど、それぞれ微妙にズレていて異様なバランスになっている。ロジックが見えないし、才能がないと撮れないなと思わされる。 日常、美しさ、キモさ、狂気、恐怖、ベタなメロドラマなどが渾然…

ザ・シャウト/さまよえる幻響

2016/8/27鑑賞 監督:イエジー・スコリモフスキ ある精神病院にやってきた男が、患者たちのクリケットを見ながら、声で人を殺せると宣言する男の話を聞く。その話とはこうだ。とあるオルガン弾きの男のところに、18年間暮らしたオーストラリアで魔術を覚え…

ベイビー・ドライバー

2017/8/21鑑賞 監督:エドガー・ライト 音楽との同期というより、最初に完璧な同期を見せておいて、それがズレていくことに主眼がある。あるいは音楽に夾雑物が入ってくるところを見せることによって段々と事態がコントロールから外れていっていることを演出…

散歩する侵略者

2017/9/9鑑賞 監督:黒沢清 つまらない。 タイトルが出るまでは最高だった。女子高生の制服を血で汚して、車道のど真ん中を歩かせるだけですごい効果がある。奥行きがつぶれて平面的なのもいいし、音楽も景気がいい。 思うに、宇宙人のとる特異な行動が「概…

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択

2017/9/10鑑賞 監督:ケリー・ライヒャルト オムニバス形式の映画で、主演はローラ・ダーンとクリステン・スチュワート。 素晴らしかった。ダウナーな雰囲気のなか癒されていくといった感じで、3話目の女弁護士と牧場の女性の密会は特に画面に力が込められ…

高速ばぁば

2017/10/29鑑賞 監督:内藤瑛亮 登場人物はアイドルグループで、出てくる怪奇はターボばばあという、一度見かけたら忘れられないインパクトの企画。 こんな題材なのに照明のレベルが、ヨーロッパの芸術映画か何かのように高い。 ばぁばにご飯を食べさせてい…

アトミック・ブロンド

2017/11/1鑑賞 監督:デヴィッド・リーチ シャーリーズ・セロン主演で、コミック原作のアクション映画。 ベルリンの壁崩壊という混乱の直前にあって、信頼できない語り手が顛末を語り、実際のところ筋もかなりもやもやとして掴みどころがない。画面のつくり…

遠い国

2017/11/28鑑賞 監督:アンソニー・マン 面白かった。ルース・ローマンにガイドとして雇われる場面で、初めて夜の画面になり、また珍しくクローズアップが使われる。後々の伏線になる場面でもあるので、その意味で強調しているのかもしれないが、視覚的にも…

乱れ雲

2018/3/26鑑賞 監督:成瀬巳喜男 成瀬の遺作。 『ひき逃げ』と同じく、交通事故がひとつのキーになっている。 葬式で司葉子と初めて会ったあと、出ていこうとする加山雄三に追いすがり睨み付ける司葉子。あるいは、夫との関係は続けられないということでカー…

ひき逃げ

2018/3/11鑑賞 監督:成瀬巳喜男 子供をひき逃げしたが、夫に説得されてその事実を隠蔽した女性(司葉子)と、それを暴くために家政婦として潜入する子供の母親(高峰秀子)の対決?を描いた映画。 高峰秀子が 酔っぱらって踊る場面での大きく揺れるカメラ。…

木霊

2018/3/27鑑賞 監督:黒沢清 90年代黒沢清の才気が感じられる一品。短編だと「花子さん」の次に好き。 運命へと一直線に向かうプロットは「花子さん」同様。いじめられっ子による復讐という点も同様。過去の因縁は「花子さん」の方がより複雑に捻ってあって…

イン・マイ・カントリー

2018/4/17鑑賞 監督:ジョン・ブアマン ジョン・ブアマンの仕事は知的かつ上品で、余裕たっぷり。情報の開示の仕方などは極めて親切だ。 同軸のカッティング・イン・アクションを活用した感情表現は繊細で教育的にうつった。踊るジュリエット・ビノシュの下…