呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

2021-03-03から1日間の記事一覧

突然の花婿

2016/5/18鑑賞 監督:ダグラス・サーク なんというバカ結婚喜劇! 『ぼくの彼女はどこ?』のママをパワーアップさせて、図々しい居候を15倍に増やしたら『突然の花婿』になると思う。軍隊から休暇を貰ったら、新妻と暮らすはずの実家が妻のママとその15人…

翼に賭ける命

2017/2/28鑑賞 監督:ダグラス・サーク 完璧なアメリカ映画だった。増村のようなモダンな使い方とはまた違った、古典的なシネマスコープのモノクロ映画ってこういう風にやればいいのか。増村の『爛』でも思ったが、シネスコにおける仰角ショットの水準がここ…

10番街の殺人

2016/1/8鑑賞 監督:リチャード・フライシャー リチャード・アッテンボロー扮する「絞殺魔」と、その犠牲となった若夫婦のお話が基本的な本筋。『絞殺魔』とか『静かについて来い』とか、こういうの好きよねフライシャーって。 なお、女性を横たえようとする…

イグジステンズ

2013/12/23鑑賞 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 脊髄にバイオポートという穴を開け、生体ケーブルを挿しこみ、ゲームポッドと人体を直接つないでプレイするヴァーチャルリアリティーゲームが流行している未来で、アンテナ・リサーチ社から発売される、…

ザ・テキサス・レンジャーズ

2019/04/15鑑賞 監督:ジョン・リー・ハンコック いわゆるボニーとクライドものだが、視点が犯罪者側ではなくそれを追う警察側にある点でやや珍しい。有名な元テキサス・レンジャーの捜査官フランク・ハマーをケビン・コスナーが、その相棒メイニーをウディ…

私の名前はジュリア・ロス

2018/12/18鑑賞 監督:ジョセフ・H・ルイス 家賃を滞納する下宿人ジュリア・ロスは、あるとき職業紹介所で待遇のいい秘書の求人が出ていることを発見する。面接を受けると話はとんとん拍子に進み、その日のうちに荷物を持って家に来るように言われそのとお…

ウィッチ

2018/1/16鑑賞 監督:ロバート・エガース 17世紀アメリカ、ニューイングランドの入植地から追放された一家が、痩せた土地で暮らしていると、長女トマシンが生まれたばかりの弟を見失ってしまう。父親は狼がつれていったのだと諭すが、小さな双子の子供たちは…

暗黒街の弾痕

2013/11/11鑑賞 監督:フリッツ・ラング いわゆるボニーとクライドもののひとつ。アマンダ・サイフリッドは本作のシルヴィア・シドニーにそっくりだということを発見し、彼女がシネフィル気質の映画監督から愛される理由を知った気がする。 なんといっても二…

殺しの烙印

2018/1/19鑑賞 監督:鈴木清順 映画前半は、ラフに撮られたカットと、人工的にきっちり決めたカットが混在していて楽しい。同じようなカットを使わないためにひたすらアイデアを尽くしているところもいい。次のカットがとにかく読めなくて、例えば、スピンし…

それでも夜は明ける

2014/4/6鑑賞 監督:スティーブ・マックイーン 自由黒人だったのに誘拐され、南部の農園に売られて黒人奴隷にさせられたソロモン・ノーサップの伝記に基づいた映画。 牧歌的光景と地獄が交互に(そして同時に)現れては、それが音楽や絵作りによって繰り返し…

アメリカの影

2014/1/14鑑賞 監督:ジョン・カサヴェテス 即興的な作品には見えるものの、後年のような前衛的な作風ではなく、普通に滑らかに見られる。 マンハッタンを舞台にした映画で、とんでもなく瑞々しく、そして面白かった。役者の顔だけで目が奪われる。 とにかく…

こわれゆく女

2014/12/4鑑賞 監督:ジョン・カサヴェテス 言わずと知れた傑作で、すごかった。舞台劇を間近で見ている感じがあり、被写体に遅れてピントが合うところなどが猶更そういった印象を強めている。 フレーミングと役者の動きがともに自由だが、ジーナ・ローラン…

ワン、ツー、スリー/ラブハント作戦

2019/01/27鑑賞 監督:ビリー・ワイルダー コカ・コーラ西ベルリン支社長(ジェームズ・キャグニー)は驚愕する。社長から預かったアバズレ娘が東ドイツのコミュニストと結婚していたことが判明したからである。しかもコカコーラ社長夫妻がそこにやってくる…

ハッピー・デス・デイ

2020/09/20鑑賞 監督:クリストファー・B・ランドン 下の方でネタバレしています。 自分の誕生日に殺された女学生が、まったく同じ日を延々と繰り返し、延々と殺され続けるというループもののホラー映画。 「時をかけるビッチ」などと呼ばれていたけど、「時…

マップ・トゥ・ザ・スターズ

2015/1/18鑑賞 監督:デヴィッド・クローネンバーグ ハリウッドゴシップ話かと思えば割に古典的な悲喜劇へともつれこんでいく。クローネンバーグらしいと言えばらしいし、オチが優しいこと以外はむしろ初期の作風に戻ったのかもしれない。 報道などで聞こえ…

ハロウィン

2014/2/26鑑賞 監督:ジョン・カーペンター 人がよく歩き、電話がよく鳴る映画。殺しの場面はどちらかと言えば女優を見せるためのサービスシーンという趣きだ。 ブギーマンは『悪魔のいけにえ』のレザ―フェイスと違って、幼少時の1回と、マスクを剥がされて…

恋のゆくえ ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ~

2014/2/26鑑賞 監督:スティーブ・クローブス ピアニスト兄弟と女性ボーカルの三人組のどさ回り映画で、ピアニスト兄弟をジェフ・ブリッジスとボー・ブリッジスの兄弟が、そして女性ボーカリストをミシェル・ファイファーが演じている。何よりもミシェル・フ…

エレニの旅

2014/2/7鑑賞 監督:テオ・アンゲロプロス 壁抜けの撮影も一つのショットとして数えると、総ショット数は97だろうか。100前後なのは確かだ。170分の映画でこのカット数の少なさ。 大俯瞰を撮る時は、人をシルエット同然にするため黒い服を着せるべし、あるい…