呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#さ行

シンデレラマン

2024-03-07鑑賞 監督:ロン・ハワード 大恐慌時代のアメリカ、落ち目のボクサー、ジェームズ・J・ブラドック(ラッセル・クロウ)はライセンスを剥奪され、日雇いの港湾労働者として配給に並び、ボクサー時代の仕事仲間に物乞いをしにいき、電気さえ止めら…

仁義の墓場

監督:深作欣二 すごい映画だった。 この世に何一つ良いことをもたらしていなさそうなヤクザ男が、触れるもの全てを(主に不幸にもこの男に関わってしまったヤクザ達を)傷つけていく。 人の家(というかヤクザの家に)に上がり込んできて、背中まげて俯いて…

ジュラシック・ワールド

2016/10/13鑑賞 監督:コリン・トレボロウ あの悲劇的な事件から20年後、人類は凝りもせず恐竜テーマパークを再建し、それを成功させているのだが、常に新しい刺激を求める客の要望に応えるため2600万ドルかけて新種を生み出すなどの施策を行っており…

ザ・ベビーシッター

2017/11/24 監督:マックG 背伸びしたい時期なのに、注射が苦手で、クモがこわくて、美人のベビーシッターまでつけられているから学校ではいじめられている男の子が、両親不在のある日そのベビーシッターが夜にしでかしている大変なできごとを目撃してしまう…

ザ・フォッグ

2018/10/26鑑賞 監督:ジョン・カーペンター 町の誕生100周年記念祭に沸き立つ小さな港町アントニオ・ベイ。だが、突如現れた濃霧が街を覆い、それに呼応するように、殺害直後にもかかわらず遺体が腐敗するという謎の殺人事件が発生する。 初期の作品で、シ…

スカーレット・ストリート

2018/10/17鑑賞 監督:フリッツ・ラング 銀行で真面目に勤め上げてきた冴えない中年サラリーマンのクリス・クロスは、暴漢に襲われている美女キティ・マーチを助ける。女優を自称するキティに魅了されたクリスは、とっさに自分が金持ちの画家だと嘘をついて…

砂漠の流れ者

2016/8/26鑑賞 監督:サム・ペキンパー 仲間に裏切られて水を奪われ、砂漠を放浪したケーブル・ホーグという男がたまたま水源を見つけて救われ、そのままその水源の土地を買い、それを足掛かりにして家を建て、ビジネスを始め、娼婦を妻にしようとする。胡散…

ジョン・ウィック:パラベラム

2022/07/24鑑賞 監督:チャド・エスタルスキ 二作目は未見。一作目よりはずっと好き。 序盤、ナイフ投げまくるところと、近接格闘への馬の活用方法がおかしいところが喜劇的で面白かったので、この調子で暗殺者版『セブン・チャンス』を90分くらいやっていた…

最後の決闘裁判

2022/5/29鑑賞 監督:リドリー・スコット 1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。 騎士カルージュの妻マルグリットが夫の旧友ル・グリに強姦されたと訴えるが、目撃者もい…

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

2022/5/8鑑賞 監督:ジョン・ワッツ 前作でミステリオによって全世界に正体が知られたピーター・パーカーは、恋人のMJ、親友のネッド共々大学受験に失敗し、第一志望のMITにも落とされてしまう。しかもマスコミやクラスメイトからはゴシップの種として追われ…

呪怨 黒い少女

2022/2/13鑑賞 監督:安里麻里 時系列や視点をバラバラにして、怪奇現象に襲われる短い挿話を束ねたような形式(これ自体は呪怨シリーズ共通)や、デジタル撮影の画面のきつさ(黒の多いカラー映画)、そもそも低予算であること、救いのない展開、などなどが…

サクラメント 死の楽園

2016/9/11鑑賞 監督:タイ・ウェスト 人民寺院事件を元ネタにした、擬似ドキュメンタリーもの。徹底的に地味・簡素な仕上がり。妹の手紙を頼りに《エデン教区》という理想郷にやってきた取材陣が、大規模な集団自殺に立ち会うことになる。 レンズフレアにこ…

最前線

2016/10/2鑑賞 監督:アンソニー・マン 独特の斜面に、歩兵たちがへばりついて動かないところをゆっくり白煙だけが移動していって、カメラがそれについていく。わくわくするオープニングである。 歩兵ものの有名作ということで、実際、視線はとても低くて全…

ザ・ファブル

2021/7/25鑑賞 監督:江口カン 冒頭の殺人シーンのエフェクト効果の必要性は全く分からなかったが、その後はそれなりに堅実な捌き方をしていた。柳楽優弥は演技過剰で映画を壊しかけだけど、コスプレ感があまりなく本当にヤバい人の雰囲気があっていいね。 …

サンライズ

2012/10/10鑑賞 監督:F・W・ムルナウ そもそも世評の極めて高い映画ではあるが、私も大傑作だと思った。上映時間は95分。 お話としてはどうってことないほど陳腐なのに、思わず「これには映画のすべてがある」と訳知り顔で言いたくなる。 霧が出た夜、悪女…

サムライ

2017/3/18鑑賞 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 冒頭のシークエンスを始めとして、(照明による)アラン・ドロンの身体に常にくっきりとした輪郭が出ている点が見事だった。 しかし劇伴と、ズームの活用が古びていて残念だ。 金を手渡すのか?という場面…

セックス・チェック 第二の性

2017/3/7鑑賞 監督:増村保造 一流のスプリンターにするために、お前を男にしてやる。明日から髭を剃れ!そしたら生えてくる! ⇒ セックスチェックに引っかかっただと。なら、お前を女にしてやる!毎晩お前を抱いてやる! こんな滅茶苦茶な話を極めて真面目…

紳士は金髪がお好き

2014/8/11鑑賞 監督:ハワード・ホークス ただひたすらダイヤモンドとお金持ちが好きなマリリン・モンローがハワード・ホークス流に狂っている。 本作のマリリン・モンローは本当にダイヤモンドとお金持ちが好きなので、他人の奥さんのものだと知っていても…

ザ・タウン

2011/8/16鑑賞、2018/4/22 2回目 監督:ベン・アフレック 内容としてはマイケル・マンの名作『ヒート』から警察側の私生活をばっさりと切り、視点を犯罪者側に寄せて内面を掘り下げた上で、ラストの展開を変えたような映画で、概ねこのジャンルの典型的なシ…

ザ・プレデター

2018/9/15 監督:シェーン・ブラック コメディとホラーの共通点は人間がバカなところだという折衷案が模索されていて、人がよく死ぬ。その方針のせいかプレデターの出し惜しみはまったくなく、出のショットにも気を遣わず、すごくカジュアル。ヒロイズムと家…

すっ飛び駕

2013/9/7鑑賞 監督:マキノ雅弘 傑作。これは必見。 撮影は宮川一夫。状態が悪かったのか音声の聞き取りにかなり難があり、正直あらすじがよく分からないまま観終わったのだが、画面は素晴らしい出来。 何度も出てくる家屋と橋の距離感であるとか、茶室とか…

西部の人

2013/12/29鑑賞 監督:アンソニー・マン 大傑作。美しい。シネマスコープを存分に生かした空間造形に痺れた。 手前になめるように人物を配置し、奥からロングショットで人物を出現させる、というシネマスコープではむしろ基本的なショットを高頻度で使い、適…

女体

2016/11/12鑑賞 監督:増村保造 スーパーメンヘラ劇場だった。浅丘ルリ子がファーストショットでいきなり机に爪を立ててガリガリ! 角をかじってガジガジ! 人工的でポップな役者たちがいい。マジで目先の欲望にしか関心がなくて、徹底的に自分の欲望のまま…

セルラー

2016/12/2鑑賞 監督:デヴィッド・R・エリス 完璧なジェットコースタームービーで、死ぬほど面白かった。 誘拐された女性が、偶然繋がった携帯電話の青年に助けを求めるというサスペンス映画で、女性がキム・ベイシンガー、青年がクリス・エヴァンス、誘拐…

白い沈黙

2016/6/28鑑賞 監督:アトム・エゴヤン 小児性愛者の誘拐犯に連れ去られた子供を取り戻すため、刑事たちがウェブ上の情報を頼りに捜査を開始する。 連れ去られた娘の父親がライアン・レイノルズ。何気にA24配給。 小児性愛者の顔が気色悪いのはもちろん、そ…

サウルの息子

2016/7/19鑑賞 監督:ネメシュ・ラースロー Wikipediaによれば、「第二次世界大戦中のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を舞台に、ゾンダーコマンドの囚人であるハンガリー人の男サウルに起きる一日半の出来事を描く」とのこと。 最後まで見れるくらい…

サンゲリア

2016/7/26鑑賞 監督:ルチオ・フルチ めっちゃくちゃかっこいい。 あの薄ぼんやりとした日中にぬけぬけと出てくる灰をかぶったようなゾンビたち! 水中でサメと戦うゾンビ! 眼球をえぐられる女性! ゆっくりとゾンビたちが村に湧き出てくるところ! この名…

ザ・ブリザード

2016/9/2鑑賞 監督:クレイグ・ギレスピー 実際にあったSSペンドルトン号の救出劇を題材にしたディザスター映画で、猛吹雪の嵐のなか、真っ二つに折れたタンカーの乗組員を救出するために沿岸警備隊が出動する。 クリス・パイン、ケイシー・アフレック、ベン…

草原の追跡

2017/1/8鑑賞 監督:ジャック・ターナー アルゼンチンの草原を舞台にした一種の西部劇で、ロケ地もアルゼンチンらしい。この映画の驚異的な点は、ドラマをひたすら背景で描写・演出する、、、ということをロケ撮影でやってのけてしまっているところだろう。 …

ザ•ブルード/怒りのメタファー

2015/10/23 監督:デヴィッド・クローネンバーグ そういう鑑賞方法は品がないと思うが、妻と離婚訴訟中+子の親権争い中というクローネンバーグのプライベートな事情がモロに出ているので、作中に出てくるラグラン先生の「怒らせるなよ」が大変笑える。ただ…