呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

『ゴジラS.P』第11話「りふじんながくふ」

2021/6/2鑑賞

  • 監督:高橋敦史
  • 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔
  • 前2話とは少し雰囲気が変わって、過去に出た要素の回収というよりも、新しい要素を出して最終回に向けての準備を進めていくような話だった。恐らくこれが最後の繋ぎ回だろう。
  • 冒頭、胡散臭い独立自営ジャーナリストが私兵を用いてミサキオクを襲撃し、地下にあった怪獣の骨を奪取する。ユンとジャーナリストは、O.D.や破局について短い会話を交わすが、そのなかでユンは今の事態を解決する方法として、「あらゆる願いを叶えるランプに、ランプの消滅自体を願う」と口にするのだが、ジャーナリストはそれに対し「君はロマンチックなことを考えるね。だが実際にそんなことができるのか?」と感想を述べるのだった。
  • 後半で神野銘とジャーナリストが、インドの地下遺跡の入口のあたりで似たような話をするのだが、あらゆる願いを叶えるランプを破壊する方法を問われ、銘は「ランプ自身に考えてもらう」と答える。これにジャーナリストも満足したようで、「なるほど、こっちは妙に現実的だな。期待以上だ。僕らは君に賭けることにするよ」と言うのだった。
  • ミサキオクに派遣されてきた外務省の官僚の動向をうまく把握できていなかったのだが、過去の話を遡って確認したことで勘違いに気がついた。①「ミサキオクの地下で独立自営ジャーナリストにスタンガンで気絶させられる」⇒②「頬に傷テープをつけて再登場。鹿子(外務省の女性上司)と車中で会話して、襲撃されたことについて語る」⇒③「ミサキオクの局長と飲み屋で会話をしていたら、警報が再度鳴ったことを知らせる電話がかかってくる」、という流れだった。そして、ミサキオクに戻り、そこでジャーナリストに捕らえられたということだろう。
  • 上記①と②の繋がりが分かりづらく、混乱してしまっていた。もう少し、襲撃の顛末を丁寧に補足して欲しかったようにも思える。
  • そして、ようやく李博士の死亡が明言される(それでも死の場面は直接映さない)。これで前話の「ー1」が李博士の死を意味しているであろうことはほぼ確定した(しかし、あのレストランの場面が回想なのか、夢想なのか、あるいは似たような会話はあったものの場面自体は実際のものと異なるイメージ映像のようなものなのか、そのあたりのことは分からない)。
  • オオタキ組は船に乗って、ジェットジャガーとともに東京に乗り込んでいる。ジェットジャガーゴジラを何とかしようとするおやっさんは紛れもない狂人だが、ハベルとユンは葦原からのメッセージを受け取るために東京に乗り込んできたのだろう。ジェットジャガーが大量バージョンアップをして幼児退行。CV釘宮の幼児化と例のインド歌曲の歌唱、なかなかやばいものがある。最終回に向けての最終準備か。「おお歌うか!ならワシも歌う!」じゃあないんだよ、おやっさん
  • ゴジラの足元で商店街のゲートが揺れるところとか、その後ゴジラをやや遠景でとらえたカットに「大考」というビル屋上看板が出てくるところとかは、ギャレス版『ゴジラ』の中華街要素を少し思い出した。でかい漢字が出てくるとアジア圏の映像だと感じるね。
  • 東京にはオオタキ組と外務省官僚、そしてユンが、、そしてインドには「シヴァ共同事業体」から離反したBBとマイケルと独立自営ジャーナリスト、そして銘が。この二人のどちらが事態を解決するのか。メタ的には、二人とも必要なのだと読めるのだが、実際にどう転ぶのか。
  • ベタに考えると、「ジェットジャガーゴジラの対決」、「ユンと銘の対面」はありそうなんだけど、後者についてはインドと東京だしな……特異点を介して出会うのか。