呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

『ゴジラS.P』第9話「たおれゆくひとの」

2021/5/13鑑賞

  • 監督:高橋敦史
  • 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔
  • 当然ネタバレです。
  • 前回に続き、今回も冒頭はゴジラ自衛隊の場面からはじまる。紅塵に包まれた東京で、硬化したゴジラに爆弾が投下される(前回のニュース映像によればレーザー誘導されたJDAM?)。1発目はゴジラの硬化を破壊することに成功したのだが、中からは無傷のゴジラ新形態が出現する。レーザー誘導からGPS誘導に切り替えたJDAMで再度攻撃。まるで『シン・ゴジラ』を再現するかのようなシーンで、ゴジラも悲鳴を上げ、ダメージが入ったことがわかる。そして3発目が投下されるのだが、それは急速に発達した組織によって包み込まれ衝撃を和らげられてしまう。指揮系統の上の方ではそれが「リアクティブアーマー」のようだと口にされ、未来を読んで銃弾を跳ね返したアンギラスのようだというコメントも出る。それで、アンギラスを撃退した民間人のロボットがあっただろうという話になり……。
  • まず紅塵で視界不良の中、ゴジラの足音だけ響く場面が素晴らしい。BDA(爆撃損害評価)の任にあたっている地上部隊と、無人の東京、「通学路」の道路標識。そこに現れる、どこかエメリッヒ版ゴジラのように恐竜的なフォルムのゴジラ・・・・・・。第8話まではどこかゴジラっぽくない印象のあった本作のゴジラだが、第9話は形態といい、鳴き声といい、BGMといい、作中での扱いといい、いよいよ「ゴジラ」だと感じる。
  • 「ユンのスマホのバッテリーが切れる」⇒「ジェットジャガーのバッテリー切れの危機」という段取りがあった。伏線をあんまり伏線らしくしないためにアナロジーを使っているのだろうか。
  • 未来を先取りする超時間計算機の結果に矛盾が出る(=破局を起こす)のは、計算機の不具合ではなく、むしろこの宇宙そのものが破局するからだ、、、という可能性が示唆される。そしてもはや、ユンと銘のチャットは肉眼で追えなくなってくる。いよいよ大変な話になってきた。ここでいう「破局」は『Self-Reference ENGINE』における「イベント」に相当する事態なのだろうか。
  • ラドンを見た人間たちは悲鳴を上げて逃げるようになるし、人的被害を示唆する描写が増えたし、最後にはあの赤い”キノコ雲”が出るしで、クライマックスが近づいてきたな……。