呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

イコライザー THE FINAL

  • 監督:アントワーン・フークア
  • シチリアでマフィアを壊滅させた元CIA凄腕エージェントのロバート・マッコールは、不注意から負傷したのち、たどり着いた田舎町で療養する。その町で過ごすうちに住民と打ち解けていくのだが、そこには寄生虫のようにはびこるマフィアの姿があって...。
  • 冒頭、少年に撃たれたロバート・マッコールがイタリアの田舎町で療養するのだが、そこにはやはり当然のようにマフィアがいて、当然のように人々が虐げられている。コテコテの西部劇、任侠映画的な「町の外からやってきた風来坊が悪党をこらしめる」エピソードなのだが、そういうものとしてよく出来ていた。
  • ショバ代を払えないでいる魚屋の亭主が虐げられているパートが簡潔ながら効果的で、どの映画にも出てきそうなイタリア・マフィアを「憎むべき悪党」としてきちんと仕立て上げていた。
  • というよりもむしろ重要なのは、デンゼル・ワシントンとチンピラマフィアたちの視線がいつ殺し合いに発展するのか?、というサスペンスの方なのかもしれない。聞こえてくる悲鳴、大きな音、民家の前でたむろするガラの悪い男たち。それを気にして立ち止まり、振り返り、にらみつけるデンゼル・ワシントン
  • アクションシーンは小規模なものが三つしかないが、少ない分、それがいつ爆発するかわからない期待感も維持されていた。テーマとなる音楽もかかる回数が少なく、アクションシーンを盛り上げる。
  • 画面は黒主体のカラー映画で、イタリア、マフィア、石造りの民家、海、宗教モチーフなどが統合されていて渋い。
  • ダコタ・ファニングがCIAとして出ている。デンゼル・ワシントンとは『マイ・ボディガード』以来の共演?
  • 一作目、二作目、三作目とどんどん上映時間が短くなっている。その代償に一作目のようなオリジナリティは消えたかもしれないし、(こんなに渋い、暗いトーンのシリーズになるとは思っていなかった)、散文性も後退したかもしれないが、ジャンル映画としては無駄なく磨かれている。
  • 「外国の素朴で魅力的な田舎」に対するカメラの向け方があまりにも観光映画的ではないか、というか、このように素朴な田舎に対する目線が現代に存在していいのだろうか、と感じる部分もある(舞台が日本で、マフィアがヤクザに入れ関わったら相当笑える映画なのではないか、とか)。それが悪いと言いたいわけではなくて、田舎町に対する時代錯誤なまでのポジティブな目線が、少し微笑ましく笑えるのだった。