呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

『ゴジラS.P』第8話「まぼろしのすがた」

2021/5/13鑑賞

  • 監督:高橋敦史
  • 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔
  • 当然ネタバレです。5~7話の記事がない?知らない子ですね。
  • 冒頭では『シン・ゴジラ』的な、ゴジラ自衛隊との戦闘シーンがはじまる。戦車砲の集中砲火を受けてもゴジラはダメージがある素振りすら見せない……というのはシリーズの定番だが、そのあとゴジラがマイナス20度のガスを吐くという点が意外だった。なぜか自爆したゴジラは硬質化して動かなくなってしまうのだが、それはまるで羽化を待つさなぎのようでもあり不気味だ。
  • BBによるアーキタイプ解説パートは、聞き役の娘が全く話を聞いていないために、少しズレたダイアローグになっている。単純な説明パートをほんの少しひねっているわけだ。そして、そもそもBBが娘にアーキタイプの説明をするのは、「自分の理解を深めるため(うろ覚え)」であり、ここでも作劇上の言い訳をしている。
  • ジェットジャガーの身体を得たユングが、科学的かつ詩的なセリフを吐く場面では、直後にハベルが「くさい」と口にする。これはユングのセリフに対する当て擦りと思わせておいて、実際には海岸に打ち上げられているマンダの放つ腐臭であることが後程わかる(ただもちろん、メタ的には「このセリフがくさいのは分かってますよ」という作り手からのメッセージは読み取れるだろう)。
  • ユンたちがクモンガ(?)の襲撃を受ける場面では、以下のような順番で情報が出されるが、これも意外性がある。「アンノウンが接近してきます!」と警告を出すジェットジャガー ⇒ 揺れる船 ⇒ 実は怪獣は船のマストの先にいたことが分かる。死角に潜んでいたわけではなく、見ようと思えばいつでも見える位置にいたわけだ。
  • ヒキは絶体絶命の構図に、まさかのヘドラ出現。作中でユンたちに降りかかったトラブルの中でも最大クラスのピンチであり、一体どうなるのやら。