呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ムーンフォール

2022/07/30鑑賞

  • 監督:ローランド・エメリッヒ
  • 本作のネタバレをしています。
  • 前半のジェットコースター映画っぷりはよく磨かれた骨董品を眺めるような楽しさがある(都合のいい偶然、すれ違い、家族の離反、逆算の演出)。情報提示も効率的で無駄がないと感じた。
  • 冒頭の宇宙空間の場面は、通信障害(異常事態)を見せるためにパトリック・ウィルソンを歌わせるという逆算の脚本だ。すったもんだの末に異常事態が解決され、スペースシャトルの回転が止まると同時に窓越しの景色が視認できて、そこに月が映っている・・・というのも小気味いいアバンタイトルである。
  • 地球に戻ってきたパトリック・ウィルソンの記者会見の場面は、やがてそれをパソコンの画面で見ている少年の視点に映り、その子に「また見ているの」と声をかける母親が出てくるところで自然に時間経過があったことが判明する(そしてこの子がパトリック・ウィルソンの息子だとわかる)
  • 後半の重力がおかしくなった地球でのアクションは楽しいし、隕石が降る中でのカーチェイスはバカバカしくて最高だが、しつこいほど自己犠牲が重ねられる終盤のシナリオは退屈で流し見していた。というかただ月が落ちてくるという災害映画でよくて、ダイソン球とか、AIの反乱とか、そういう要素は別に辻褄合わせの蛇足なだけで、無くてよかったんではないか。