呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ラヴソングができるまで

2021/3/14鑑賞

  • 監督:マーク・ローレンス
  • 80年代に一世を風靡したバンドPoPの元ボーカルであるアレックス(ヒュー・グラント)も今では落ち目の元スター。ソロアルバムも酷評を受けあと、同窓会や遊園地を興行して回ることで糊口をしのぐ毎日だった。そんな彼に"ブリトニー以上のスター"と言われる人気歌手のカーラ(ヘイリー・ベネット)から曲の提供依頼があった。彼女はアレックスのファンだったのだ。
  • 作曲という大変な仕事に乗り気になれず、作詞家との関係も上手くいかないアレックスだったが、たまたま植物に水やりの仕事にやってきたソフィー(ドリュー・バリモア)が口ずさんだ歌に才能を感じ、彼女と一緒に作曲をすることを決心する。
  • 落ちぶれたスターの復帰、仕事をきっかけに恋仲に落ちる男女、お互いの過去を掘り下げてトラウマを解消するストーリー運び、最後は歌と踊りのパフォーマンスなどなど、ベタな要素ばかりで構成されたラヴストーリーだが、役者と脚本の魅力で、老若男女問わず誰にも愛されるアメリカ映画になっている。
  • ドリュー・バリモアがとても魅力にあふれるコメディエンヌだということを強く実感する映画で、それをヒュー・グラントもしっかりとした包容力で受けている。脇役陣に目を向けると、出た瞬間に「長年の付き合いがあるんだな」と感じさせるマネジャー役のブラッド・ギャレットも印象に残る。ヘイリー・ベネットが卑猥な歌とダンスで人気を博する「歌姫」をやっていて、これはちょっと損な役柄ではないかと思っていたが、後半では彼女も「内面」を掘り下げられることで救われている。
  • 何でもないことのようだが、光もいい。影が深く落ちるような照明ではなく、どちらかといえば画面全体を明るくするようなテレビ的な照明に見えるんだけど、平板なわけではない。じんわりと被写体をまばゆい光で包んでいるし、輪郭に目立たない影をつけている。