夜よ、こんにちは
2013/11/18鑑賞
- 監督:マルコ・ベロッキオ
- 傑作だ。
- 歴史さえ、視点と空間を限定することによって現在の物語として、そしてフィクションとして撮ることができるし、偏った視点こそフィクションなのだということを思い知らされる。
- 実際にあった事件を題材にして、ありえたかもしれない別の可能性を語る、、、という手法はよくあるものだけど、ベロッキオは、空間の使い方が見事なので史実に匹敵するほどの実質をこの映画に込めることができている。
- 思えばいかにも(モーロ元首相誘拐事件に関する)史実らしい場面はほとんど排除されていて、主人公はモーロ誘拐をテレビで知り、監禁中のモーロ本人も彼女の視点から見ればただゴロゴロしている爺さんでしかなく、モーロ殺害もはっきりとは描かれない。
- 一方で、『夜よ、こんにちは』というシナリオや、彼女を追う(かのように見える)警官隊、あるいは部屋から抜け出すモーロの幻視、といったフィクションが彼女を動揺させるのだ。