呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#上映時間③100~129min

雷鳴の湾

2017/1/8鑑賞 監督:アンソニー・マン 石油採掘事業の話で、出資をとりつけるところから始まるので実質ベンチャー企業物語なところはある。石油採掘よりも、むしろ沿岸でエビ漁をやっている住民との確執や、その町娘とのメロドラマにスポットが当たり、スト…

ビッグ・フィッシュ

2017/2/5鑑賞 監督:ティム・バートン これはちょっと優しすぎて好みではなかった。 あと、複雑な語りを展開する話は、どうしても映画の素材が記号であり物質でもあることと相性が悪いと思ってしまう。要するに、複雑な語りの技法を使われると(特に本作のよ…

ルドガー・ハウアー/危険な愛

2016/3/24鑑賞 監督:ポール・バーホーベン セックス狂いの男エリックは、外に出るなり女にちょっかいを出し、すぐに自宅に連れて帰っているハメるという毎日を繰り返していたが、ある日赤毛のモデルと出会い、彼女とのカーセックス及び事故に至る運命的な出…

ディストラクション・ベイビーズ

2016/6/2鑑賞 監督:真利子哲也 松山の港町から繁華街に出てきた凶暴な男、芦原泰良(柳楽優弥)が、道行く人間に次々と喧嘩を仕掛けていくと、高校生の北原裕也(菅田将暉)が泰良に興味を持ち、彼と行動を共にするようになる。泰良の喧嘩は段々と有名にな…

宮本から君へ

2021/6/29鑑賞 監督:真利子哲也 営業マンの宮本浩は、前歯と腕を折り、顔面が腫れ上がるまで喧嘩したことで勤め先から叱責を受けるのだが、その喧嘩の内容については詳しく話そうとしないでいる。一方、中野靖子との結婚を報告しにお互いの両親を訪ねるのだ…

レインディア・ゲーム

2017/2/20鑑賞 監督:ジョン・フランケンハイマー ベン・アフレックとシャーリーズ・セロンが出演しているので見た。何気にダニー・トレホがいる。クリスマス映画。 出所したルーディ(ベン・アフレック)は、ムショで一緒だった男の文通相手(シャーリーズ…

欲望のバージニア

2013/7/11鑑賞1回目 2017/5/4 鑑賞2回目 監督:ジョン・ヒルコート 禁酒法時代のバージニア州を舞台にしており、「おれたちは不死身だ」と自称する密造酒家の三兄弟が、悪辣な特別捜査官と戦うというストーリー。実話がベースになっており、三兄弟の長男(…

泥棒成金

2014/3/4鑑賞 監督:アルフレッド・ヒッチコック ブルーレイで見たら、驚異的な画質にびっくりした。 50年代のカラー映画がこんなにくっきり見えることなんて経験したことがなかったので、そういう意味でもびっくりなのだが、それ以上に映画自体がくっきり…

霊長類

2016/9/21鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン 動物実験を扱ったドキュメンタリー映画。 亜人種に感情移入するのは簡単なので、猿の脳に電極埋めて電気信号で交尾させたり、解体したりするのを見ているとヤバい。猿の鳴き声がだんだんと悲鳴とか怒号のよう…

ミスター・ガラス

2019/1/18鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 脚本の流れはかなりよかった。二人の超人の直接対決を出し惜しみせずに序盤からやってくれるのが嬉しい。その後は、ブルース・ウィリスもジェームズ・マカヴォイも一旦捕えられてしまうんだけれども、『羊たちの…

サムライ

2017/3/18鑑賞 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 冒頭のシークエンスを始めとして、(照明による)アラン・ドロンの身体に常にくっきりとした輪郭が出ている点が見事だった。 しかし劇伴と、ズームの活用が古びていて残念だ。 金を手渡すのか?という場面…

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣

2016/9/3鑑賞 監督:ポール・バーホーベン 卑しい顔をした聖職者が聖餅を配っているすぐ横では腹の出た女が酒をふるまっている戦場の混沌で、街を奪われた領主アーノルフィニは「なにをやってもいい」と傭兵どもを煽ることで、残虐の限りを尽くして街を取り…

レディ・アサシン

2013/5/4鑑賞 監督:オリヴィエ・アサイヤス 傑作。原題は"Boarding Gate"。 元娼婦のサンドラ(アーシア・アルジェント)が、やや不本意な形で人殺しになる。 映画冒頭、金属のドアがひしぐ音を聞いた瞬間に気づいたのは、画面のフレーム内全てにピントが合…

ロード・オブ・セイラム

2017/10/10鑑賞 監督:ロブ・ゾンビ セイラム魔女裁判の呪いが、セイラムに住むラジオパーソナリティの女性にふりかかり、なんだかすごいことになる映画。 しかし、セイラムって今は違う地名になっていたのではと思った。 ほとんど最初からラストの一枚絵が…

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール

2016/2/15鑑賞 監督:スチュアート・マードック 久々に5分でリタイア。そもそもエミリー・ブラウニングの顔が好きではないところに、冒頭のショットで額に皺が寄っているところと、こけた頬を見せられて耐えられなくなった。

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

2013/9/26鑑賞 監督:マルコ・ベロッキオ 邦題の通り、ムッソリーニの最初の妻になった女性の波乱万丈の人生(実話)を描く作品。 滅茶苦茶面白い。非現実的な画面作り楽しい。カメラ、演技、演出のテンションが異常に高くて、時折殆ど歌劇のようだ。 人物を…

遊星からの物体X

2011/10/28鑑賞 2016/1/10鑑賞 監督:ジョン・カーペンター 傑作。SFホラーなだけでなく、クローズドサークルでのミステリ要素まであるので、かなり広いターゲットにオススメができる映画。こういう普通に友達に見せてもウケそうな映画はジョン・カーペン…

夜よ、こんにちは

2013/11/18鑑賞 監督:マルコ・ベロッキオ 傑作だ。 歴史さえ、視点と空間を限定することによって現在の物語として、そしてフィクションとして撮ることができるし、偏った視点こそフィクションなのだということを思い知らされる。 実際にあった事件を題材に…

雪の断章 -情熱-

2021/4/7鑑賞 監督:相米慎二 舞台は北海道。2人の男性に囲まれて育ったみなし児の少女が、殺人事件の容疑者になることで人生を狂わされ、やがて大人になっていくまでの物語。 なのだがストーリーは大体どうでもよくて、意外性に意外性をぶつけるような圧倒…

マップ・トゥ・ザ・スターズ

2015/1/18鑑賞 監督:デヴィッド・クローネンバーグ ハリウッドゴシップ話かと思えば割に古典的な悲喜劇へともつれこんでいく。クローネンバーグらしいと言えばらしいし、オチが優しいこと以外はむしろ初期の作風に戻ったのかもしれない。 報道などで聞こえ…

ANON アノン

2020/06/11鑑賞 監督:アンドリュー・ニコル 映画において、拳銃は視線を可視化する小道具で、本作でもそれは殺人犯のPOVショットにはっきりと現れている。 だからこそ、終盤になって、視線とまったく違う方向を撃つクライヴ・オーウェンが新鮮に映る。あと…

ホットギミック ガールミーツボーイ

2019/07/04鑑賞 監督:山戸結希 途中退場。 相変わらず観客との駆け引きを全く考えていないめちゃくちゃな編集がきつい。 あるカットを見ているとき観客は「ここで切るだろう」、あるいは「ここはまだ続くだろう」と映像が持続するかどうかを無意識に考えて…

突破口!

2013/7/24鑑賞 監督:ドン・シーゲル 傑作。冒頭の銀行強盗シーンでいきなり引き込まれる。 何やら牧歌的で、太陽の逆光を多用する審美的なショットから始まったかと思えば、看板を映すカメラがクレーン移動して、自動車が入って来るなり銀行強盗シーンが始…

誘拐犯

2021/2/19鑑賞 監督:クリストファー・マッカリー 若い無法者二人組が、代理母を誘拐して金持ちから身代金を強請ろうと画策するのだが、実はその代理母の依頼主は裏稼業とも通じている大物で、二人の計画は狂い始める。 代理母がまず心変わりして子を自分の…

引き裂かれた女

2013/4/5鑑賞 監督:クロード・シャブロル 美男美女揃いでゴージャスな色使い、小道具、衣装、建築で飾られる退廃のメロドラマ。 ちょっと筋を追えなくなるくらいに編集でバシバシ場面を切っていくのがすごい。洗練というのとはまた違う奇妙な説話だ。 それ…

ラッシュ/プライドと友情

2014/2/10鑑賞 監督:ロン・ハワード ロン・ハワードが本気で映画を撮るとこうなるのか、という凝りよう。 陽炎、雨、ピントボケ、の視界不良にイライラ、ハラハラするが、それが正しくF1レーサーのストレスへと貢献する作りになってる。 アレクサンドラ・…

闇を横切れ

2016/9/4鑑賞 監督:増村保造 新聞記者がストリッパー殺しをきっかけに政治家と街のボスの汚職を挙げる社会派エンタメ。熱血漢の新人ブン屋を川口浩、秘密を握る女を叶順子、一見理想の上司に見えるが何か裏がありそうな人物を山村聰がやっている。かなりベ…

イン・マイ・カントリー

2018/4/17鑑賞 監督:ジョン・ブアマン ジョン・ブアマンの仕事は知的かつ上品で、余裕たっぷり。情報の開示の仕方などは極めて親切だ。 同軸のカッティング・イン・アクションを活用した感情表現は繊細で教育的にうつった。踊るジュリエット・ビノシュの下…