呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

欲望のバージニア

2013/7/11鑑賞1回目
2017/5/4 鑑賞2回目

  • 監督:ジョン・ヒルコート
  • 禁酒法時代のバージニア州を舞台にしており、「おれたちは不死身だ」と自称する密造酒家の三兄弟が、悪辣な特別捜査官と戦うというストーリー。実話がベースになっており、三兄弟の長男(タフガイ)がジェイソン・クラーク、次男(タフガイ)がトム・ハーディ、三男(お坊ちゃん)をシャイア・ラブーフが、そして特別捜査官をガイ・ピアースが演じている。
  • またヒロイン陣に目を向けると、シャイア・ラブーフのお相手をミア・ワシコウスカが、トム・ハーディのお相手をジェシカ・チャステインがそれぞれ演じており、印象的である。
  • もちろん伝説は伝説であって、事実ではない。しかし最後の銃撃戦で、「おれたちは不死身だ」なんて根も葉もない伝説を信じ切った男たちが真正面から銃弾を受け、倒れ、しかし足を引き摺って歩く。バージニア州は西部ではないが、この言葉を思い出さずにはいられない。「西部では伝説が事実になる」
  • 禁酒法時代を舞台にしつつも、例えばジョン・デリンジャーのように州境を超えるわけではなく、せいぜい郡境を超える程度の犯罪行為というのがうまい差別化なんだなと思った。
  • そのためシカゴの有名なギャングたちがストーリーの外部にあるロマンとして配置されていて、ゲスト的に出演するゲイリー・オールドマンがほんのり本場ギャングのロマンを背負わされている(だからか、トンプソン機関銃を撃ちまくるテンプレギャング映画的な見せ場も用意されている)。そして、敵はもちろんシカゴからやってきた捜査官。この捜査官が相当に悪い。
  • 三兄弟のうち、都会のギャングに惹かれているのが末っ子で、田舎の伝説を背負っているのが上二人の兄貴。近代と神話みたいな引き裂かれ方してる。