2016/6/2鑑賞
- 監督：真利子哲也
- 松山の港町から繁華街に出てきた凶暴な男、芦原泰良（柳楽優弥）が、道行く人間に次々と喧嘩を仕掛けていくと、高校生の北原裕也（菅田将暉）が泰良に興味を持ち、彼と行動を共にするようになる。泰良の喧嘩は段々と有名になっていき、二人が盗んだ自動車に乗っていたキャバ嬢（小松菜奈）が途中で巻き込まれる。一方、泰良の弟が兄を追うのだが、こちらはなかなか上手くいかない。
- 最初らへんは本当にただキチガイが路上でそこらへんの奴に殴りかかってはボコされるという内容なんだが、このキチガイが段々と強くなっていくにつれて、その周辺に描かれていた人物との関係が生まれてきて、やがて構造らしきものが立ち上がってくる。
- 柳楽優弥が延々と路上でボコしたりボコされたりしている時間帯は、本当にバカなことを長回しで追いつづける路上の映画として生々しくて、なかなか面白かった。こういうのをシネコンで見られることはまずない。
- 最後は故郷に戻るんだが、普通はこの戻ってきたところから始まるものなんじゃないか？ 悪いことをして有名になった男が地元に戻ってくる。『リトル・オデッサ』とか。
- そうではなく、映画に出てくる無敵の男がいかにして作られるかを描いているように思えた。
- 『リトル・オデッサ』と『ディストラクション・ベイビーズ』は兄弟関係が似ていて、兄から弟へと暴力が伝染する。前者は身に備わった悪徳が家族に悲劇をもたらすという話であり、後者は「映画に出てくるめっちゃ強いやつってどうやって生まれるのよ」という疑問に答える破天荒という違いがある。
- ただ、菅田将暉が見事に活用されているのに対して、小松菜奈の役割がちょっと中途半端に思えた。柳楽・菅田ペアの存在意義がはっきりしているだけに、小松菜奈を持て余している感が強い。
- 男二人、女一人で、盗んだ車でドライブってかなりロードムービーっぽくて、そういう典型には回収されてほしくないなとも思った。身勝手な観客としては、もう少し後半から終盤にかけて飛躍が欲しい。
