呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#製作国:日本

『ゴジラS.P』第2話「まなつおにまつり」

2021/4/1鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 当然ネタバレです。 第1話と比べると、アクションシーンが増えてセリフの量がやや抑えられてはいるが、タメが長かった前話とは違い、出し惜しみなくスピード感のある語りで一息にエンディ…

『ゴジラS.P』第1話「はるかなるいえじ」

2021/3/26鑑賞 監督:高橋敦史 脚本・SF考証・シリーズ構成:円城塔 興奮して書きなぐっているから、多分見た人にしか何言っているのかわからないだろうと思う。 情報量が『四畳半神話大系』並みに多くてとても面白かったが、結構タメが長くて他の人がどう見…

ミスミソウ

2018/4/8鑑賞 監督:内藤瑛亮 押切蓮介による同名の漫画のかなり忠実な映画化だが、終盤の展開など一部が変更されている。 最初に三人を殺すところまでは最高。ロケーション最高。序盤の省略に次ぐ省略の編集最高。音のずり上げ最高。 場面転換に使われるカ…

斬る

2014/2/12鑑賞 監督:三隅研次 人間が縦に真っ二つになる場面がある。 1時間ちょっとで男の一生を語っているためか、説話がとても奇妙なものに感じられる。 三隅研次らしい前衛的なオープニングで始まったかと思いきや、前半は馬鹿みたいなホームコメディが…

殺しの烙印

2018/1/19鑑賞 監督:鈴木清順 映画前半は、ラフに撮られたカットと、人工的にきっちり決めたカットが混在していて楽しい。同じようなカットを使わないためにひたすらアイデアを尽くしているところもいい。次のカットがとにかく読めなくて、例えば、スピンし…

恐怖女子高校 女暴力教室

2016/09/29鑑賞 監督:鈴木則文 OPからかっこいい。めいめいが異なる不良を働いている教室のカタログ的な場面、放課後に狭い縦構図の公衆トイレで着替える女子高生たち、そこにかぶさる赤いクレジット。 起きていることは下品そのものだが、音楽は途中で断…

夢の丘

2020/05/27鑑賞 監督:高橋洋 禍々しい窓と水滴とオーヴァーラップ。そして白昼夢のように明るいホラー映画。 窓は光を透過もし、反射もする素材なので、窓を映せば自然にオーヴァーラップと似たような映像が撮れる。この映画では、窓の外にある丘を眺める人…

ホットギミック ガールミーツボーイ

2019/07/04鑑賞 監督:山戸結希 途中退場。 相変わらず観客との駆け引きを全く考えていないめちゃくちゃな編集がきつい。 あるカットを見ているとき観客は「ここで切るだろう」、あるいは「ここはまだ続くだろう」と映像が持続するかどうかを無意識に考えて…

キル・ビル Vol.1

2013/8/21鑑賞 監督:クェンティン・タランティーノ 第一章の脚本の流れがタランティーノ流の引き伸ばし演出の典型例になっている。 後半に入るとちょっとその引き伸ばしぶりが無くなって単調。 階段を一段も飛ばさずに高速で駆け下りてくるクレイジー88が…

サイレントヒル

2013/5/19鑑賞 監督:クリストフ・ガンズ ゴシックアート博覧会とでも言うべき美術の映画。ロングショットの多さとか、空間構造を見せようという気概もこれが美術の映画だからに過ぎず、説話的な部分、特に視点制御に関心が薄いように見えた。 例えば、「室…

その夜の妻

2016/10/27鑑賞 監督:小津安二郎 サイレント映画。アメリカ映画っぽいことをやっていた頃の小津。 病気の子供のために強盗を働く夫と、それを捕まえに来た刑事に拳銃を向ける妻。一晩、家で子供の看病をし、刑事に拳銃突きつけたまま寝ずの番をする。この展…

ドレミファ娘の血は騒ぐ

2017/2/7鑑賞 監督:黒沢清 脈絡なく強いショットが並ぶので興奮するけど、作品の制作背景にもなっている当時の時代背景や80年代のノリが古びてしまっていて、こういう時代があったんだなという感慨に耽ってしまう。ゴダールの影響を受けたシネフィルっぽい…

闇を横切れ

2016/9/4鑑賞 監督:増村保造 新聞記者がストリッパー殺しをきっかけに政治家と街のボスの汚職を挙げる社会派エンタメ。熱血漢の新人ブン屋を川口浩、秘密を握る女を叶順子、一見理想の上司に見えるが何か裏がありそうな人物を山村聰がやっている。かなりベ…

赤い天使

2014/7/6鑑賞 監督:増村保造 優しいがために股が緩くなってしまう若尾文子による変態プレイ集。 川津祐介は腕がなく、芦田伸介は縛られる。足を股に挟み、軍服を着てブーツを履かせる。男女が逆転すると、腕ではなく足がメインになるということか。この映画…

昼顔

2017/06/10鑑賞 監督:西谷弘 公開初日に見に行った。 海が出てきても、快晴でも、最初から黒沢清みたいに不自然に灰色な映画だからきっと陰惨なことになるだろうと思っていたらあんなことに...。 西谷弘なのに横顔のショットがない、ない、と思っていたら最…

県庁の星

2015/4/7鑑賞 監督:西谷弘 メッセージにまったく共感できないので終盤ちょっと萎えたけど、横顔の見事な撮影や、感情の視覚化など、映画としては見どころたっぷり。 大筋がシンプルなので、卓越した情報処理能力は脇役に回していた。丁寧に顔を拾っていく。…

女の中にいる他人

2016/6/29鑑賞 監督:成瀬巳喜男 成瀬の撮った人殺しの映画。 ぽつんと都市部の車道沿いを歩くスーツ姿の男がタバコをくわえると、カッティングインアクションでどこかのダイナーに飛んで環境音が消えるが、男はまったく同じように生気がない。つまり、外部…

驟雨

2021/2/6鑑賞 監督:成瀬巳喜男 『めし』同様、子供のいない倦怠期の夫婦(しかも貧しい)のながーい夫婦喧嘩を、近所付き合いなどを交えてドラマにしたという感じ。妻が原節子で、夫が佐野周二。タイトルは、途中で一度、突然の大雨が降って場面転換が起き…

しとやかな獣

2013/9/15鑑賞 監督: 川島雄三 (ほぼ)全員悪人。守銭奴一家の住まう団地で繰り広げられる、金と性との暗黒喜劇。 尋常ではない構図、尋常ではないパンフォーカス、尋常ではないフィルムの発色。 どうして面白い構図になるかと言えば、基本的に手狭な中で…

リング

2013/6/6鑑賞 監督:中田秀夫 脚本の高橋洋本人も認めている通り、最後の貞子登場シーンは完全に失敗している。あれは照明がダメだろう。なにより怖くない。あれなら冒頭で死んでいた女の子の方が怖いんじゃないか。 一方で、ビデオの方は成功していると思っ…

女優霊

2013/1/10鑑賞 監督:中田秀夫 とにかく、ラッシュを観る場面が悉く怖い。霊の来歴を調べても、そもそも出自からして架空の存在で、いるはずのない女だというのが怖いし、未現像フィルムの映像は彼が最後に観る光景だったという凄まじさ。 あとは、ホラー映…

TAKESHIS'

2015/6/25鑑賞 監督:北野武 劇中劇の銃撃戦に見られるように、静から動に移る居合じみた編集は相変わらずカッコいい。 『去年マリエンバートで』みたいに違う時間軸の映像が現在を貫いて出てくるような編集も最初はよかった。 美輪明宏とすれ違うところの複…

ダーリン・イン・ザ・フランキス

鑑賞日不明 監督: 錦織敦史 設定的には、ATフィールドのないエヴァという感じで、最初の方はエヴァ第9話「瞬間、心、重ねて」を反復し、掘り下げていくようなシリーズになるのかなと思った。実際序盤は概ねそういう感じだった。 面白いと思ったのはパー…

ドロメ 女子編

2016/11/16鑑賞 監督:内藤瑛亮 全体としては【女子編】のほうが単体の作品としてよくまとまっていて、【女子編】に残った謎が、【男子編】で解かれる内容になっているので、【女子編】→【男子編】という順番で見ていくのがいいと思われる。 まず、全体の感…

続きをしよう(『鬼談百景』所収)

2018/7/28鑑賞 監督:内藤瑛亮 墓場で子供が鬼ごっこをしていたら、次々と怪我をしてしまうというストーリー。 怪我をした子が、まるで嫌な飲み会から抜けるかのようにいい笑顔で「じゃ、これで」と去っていくのでコメディのような雰囲気が漂う。そして、怪…

救済

2016/11/8鑑賞 監督:内藤瑛亮 青山シアターのウェブサイトで有料で見た。 いじめられていて家庭環境も最悪な少女が拳銃を拾う、という話。 物凄く禍々しい自然光と銃撃が見られる。川に投げ込まれたものを服を着たまま取りに行く行動を撮ることで執着を示す…

ライチ☆光クラブ

2016/11/8鑑賞 監督:内藤瑛亮 原作漫画は既読だが、こんなの映画になるのか?という内容だったので不安だった。そして、不安が的中してしまった感じ。演劇やミュージカルなら映えそうな内容だが。 この人はロケ撮影をした方が絶対にいいと思う。

不能犯

2018/2/3鑑賞 監督:白石晃士 すごく言語的でつまらなかった。見た範囲では白石晃士のワースト作。

アマルフィ 女神の報酬

2014/12/18鑑賞 監督:西谷弘 海外ロケの観光映画として作られておきながら、観光映画であることを至る所で皮肉る作品になっている。それは、タイトルになっているアマルフィの扱いを見るだけでもわかる。 映画自体はヒッチコック的な映画の最良の部類(ただ…

花子さん

2015/1/18鑑賞 監督:黒沢清 「学校の怪談」のスペシャルドラマシリーズに含まれる短編で第4話。 幼少期に見てトラウマを負ってから何度も見ているが、見る度に黒沢清の最高傑作なのではないかと思ってしまう(映像は貧相な感じで、とてもそうは見えないか…