呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ダーリン・イン・ザ・フランキス

鑑賞日不明

  • 監督: 錦織敦史
  • 設定的には、ATフィールドのないエヴァという感じで、最初の方はエヴァ第9話「瞬間、心、重ねて」を反復し、掘り下げていくようなシリーズになるのかなと思った。実際序盤は概ねそういう感じだった。
  • 面白いと思ったのはパートナー交換があること。これは、二人で一機のフランクスを動かす設定ならではだし、4人のキャラクターの関係性を一気に変えるので興奮する。京アニもキャラクターの配置を変えていくのが得意だけど、12話とか24話とか話数があるとこういう複雑なことができていいよね! 絵だとキャラデザでほとんどキャラクター描写ができてしまうところから、こういう大胆なこともしやすいのかも。
  • 途中から、イクニっぽい主題がガイナックスのロボットアニメで展開される。
  • ゼロツーとヒロの関係は、王子様とお姫様(怪物)という絵本がベースになっているメルヘンなもの。めっちゃイクニっぽいなと思ったけど、ファンから見てもそうなのだろうか。
  • ミツココは、ココロ側のパートナー変更の動機がはっきりと示されていないことと、相手に対する好意と性愛への関心が未分化なままそういう関係になるところがリアル!でよかった。生殖が絡むせいか、ゼロツーとヒロよりはっきりと生々しい。女から男にキス⇒男から女にキスという順番は同じで、記憶喪失も絡むし、同じ主題が形を変えて反復されていることがわかる。あと、温室はウテナを思い出した。
  • 多分この路線で、第3、第4のカップルを取り上げて主題を反復し、もっと練りこめたら面白いシリーズになったのではないかなと思う。叫竜の姫とか出てきて、「これはユリ熊嵐!」「ユリ熊嵐もやってしまうのか!?」と思った。そうはならなかったが。終盤がね……
  • 18話まではかなり面白かったけど、19話の種明かし回からガクッと落ちた。そしてあの超展開。これまでの主題と全然関係のないところで、別の解決がされるというガッカリ展開だった。伏線があるのは知ってるけど、そういう問題じゃない。こういう結末をつけるためだけのギミックを、主題とは無関係に設置することだけは頑張って避けて欲しい。
  • コドモたちの性への自覚という部分だけで手一杯なのに、異種との交流という主題も組み入れたのがまとめきれなかった原因かもしれない。絡めてもいいし、その方が面白いと思うけど、もっと話数が必要だろう。
  • 複数ある主題の関係が面白くて、最後はちょっと残念だったけど、これをもっと伸ばして面白いところにいけるんじゃないか、という思考が刺激されるアニメだった。