2016/11/12鑑賞
- 監督:増村保造
- スーパーメンヘラ劇場だった。浅丘ルリ子がファーストショットでいきなり机に爪を立ててガリガリ! 角をかじってガジガジ!
- 人工的でポップな役者たちがいい。マジで目先の欲望にしか関心がなくて、徹底的に自分の欲望のまま動く浅丘ルリ子と、それに惚れてしまった堅物真面目人間の岡田英次、という組み合わせが可笑しいが、増村は馬鹿みたいに真面目なので、恐らく真剣に自由について考えているのではないか。
- 『痴人の愛』の同工異曲という印象(あちらの方が、画面のレイアウトと色が優れている)で、残念ながら浅丘ルリ子の肉体がガリガリの不健康そうなフォルムをしているので映画全体としても魅力に欠けている。
- ワンターンごとに違うことを言い始める浅丘ルリ子は『ラ・ピラート』の住人になってもやっていけそうだが、やはり照明が完璧にあたっているので、自由に動けば動くほどかえって不自由に映る。人生に対して即興的な人間がいくら自由に動き回っても、人工的なレイアウトと照明がきちんと先回りし、パーフォーカスで捉えられ、棒読み演技が淡々と押し通されるので、増村の真面目さと相まって滑稽に見えるのだ。でも真面目であることは実感されるので悲しい。けどポップなんだ。