呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ザ•ブルード/怒りのメタファー

2015/10/23

  • 監督:デヴィッド・クローネンバーグ
  • そういう鑑賞方法は品がないと思うが、妻と離婚訴訟中+子の親権争い中というクローネンバーグのプライベートな事情がモロに出ているので、作中に出てくるラグラン先生の「怒らせるなよ」が大変笑える。ただ、恐妻とその配下のブルードたちの造形があまりに病んでいるのでドン引きした。
  • 『映画の生体解剖』で本作を例に出して、パラノイア感覚や、神話的な「悪」の造形といっていたものが分かった気がする。同書は悪役が病んでいるのは好きではないらしく、ザ•ブルードみたいに作り手や時代が病んでいるからこそ容赦なく描かれる悪そのものが好まれるのだな。
  • 正直、普通の会話シーンとかは他にもっと異常なクローネンバーグ作品はあると思うんだけど、本作は異化されたシーンがだいぶ病んでいるのでまあ。