呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#た行

ティアーズ・オブ・ザ・サン

2017/2/2鑑賞 監督:アントワーン・フークア 虐殺の続くナイジェリアで、アメリカ人女医を救出するミッションを受けたネイビーシールズの部隊が、倫理的に正しいことをしようとするために地獄を見ることになる映画。贅沢でよかった。『虐殺器官』的風景が見…

ディファイアンス

2014/12/10鑑賞 監督:エドワード・ズウィック ほどよく細部と挿話を入れながら枝葉を広げ、渡河と騎兵隊到着でクライマックスを作るあたりのバランス感覚が流石だ。河を前にして立ち止まってしまい震えるリーダーに、一人の女と若者が力を与え、再び歩き続…

友よ、さらばと言おう

2015/1/18鑑賞 監督:フレッド・カバイエ 現代ハリウッド的なアクション映画を撮ろうと頑張っているフランスという感じだろうか。 ヴァンサン・ランドンの再起を示すエピソードが上手くいってないように思える。過剰暴行でキャラ立ちをしたランドンが、息子…

抱きしめたい -真実の物語-

2014/12/27鑑賞 監督: 塩田明彦 いわゆる難病もの。 演出、省略、反復の映画であることは確かで、例えばラストで錦戸に日本語で「愛してる」と言わせるために、他の場面では中国語や英語を使わせている。 他にも例えば血の繋がりを示すために、北川景子とそ…

デトロイト

2018/02/04鑑賞 監督:キャスリン・ビグロー 実際にあったデトロイトの暴動で、警官による理不尽な尋問にあった被害者たちの話。イかれた奴らに無抵抗な人間が陵辱され続ける一夜の話としては『ある戦慄』などを思い出した。 歴史再現映画の範疇は出ないが、…

ドリーム

2018/06/02鑑賞 監督:セオドア・メルフィ 人物を真横から撮る技術が高く、人工的なレイアウトを中心に据えた造形はこの技術あってこそだろう。横顔もかなりいい。黒人を意味するcoloredという言葉は、視覚的な主題としてはカラフルな色彩として解釈されてい…

大菩薩峠

2014/6/9鑑賞 監督:三隅研次 繰り返し映画化されているが、これはいわゆる「大映版」。 闇討ちの場面で、市川雷蔵が刀を抜くと身体はシルエットになり、代わりに刀が光る。見たとおりの邪剣。 また、霧とセットが物凄いが、セットを見せるための広い構図や…

できごと

2018/03/19鑑賞 監督:ジョセフ・ロージー 面白かった。 冒頭、事故で横転した自動車をガラス張りの箱として扱い、そこに動かない人間が詰め込まれているといった感触の撮り方。ショーウィンドウのマネキンを転がしたような独特の不気味さがあった。 トラウ…

忠臣蔵外伝 四谷怪談

2017/1/21鑑賞 監督:深作欣二 見た人がみんな高岡早紀のおっぱいにばかり言及する怪作だが……絵作りはされていて、狭い構図で役者をとにかく動かすので面白い。首はごろごろ転がっていく。吉良家討ち入りのところで、お岩さんが特殊効果でバーンっと大活躍し…

高い標的

2016/9/16鑑賞 監督:アンソニー・マン リンカーンやピンカートンといった固有名詞にまつわる歴史はあまり反映されず、地味な列車サスペンスが展開される。この路線だと『その女を殺せ』と比べてしまうな。 境界を置いて、その両側の人間を撮ってバレるかバ…

遠い国

2017/11/28鑑賞 監督:アンソニー・マン 面白かった。ルース・ローマンにガイドとして雇われる場面で、初めて夜の画面になり、また珍しくクローズアップが使われる。後々の伏線になる場面でもあるので、その意味で強調しているのかもしれないが、視覚的にも…

ア・ダーティ・シェイム

2016/8/1鑑賞 監督:ジョン・ウォーターズ 堅物の主婦シルビアは、豊胸手術で超巨乳ストリッパーになった娘に悩んでいたが、頭を打ったせいで本人もセックス狂いになってしまう。 超巨乳のストリップダンサーが出てくるからそいつが主人公かと思いきや、その…

ドローン・オブ・ウォー

2016/4/3鑑賞 監督:アンドリュー・ニコル 低体温の映画。アフガニスタンで活動する無人兵器を遠隔で操作するパイロットたちを描いている。主演はイーサン・ホーク。 爆発音の聞こえない戦場、電話のスピーカーとして存在するラングレーなど、徹底的に「箱」…

透明人間

2021/1/3鑑賞 監督:リー・ワネル 新年の映画初めは『透明人間』。完全にホラー映画だったので選択を間違ったような気がしないではない。 エリザベス・モス演じる主人公(セシリア)がなにやら深夜にこっそり自宅(豪邸)から逃げ出そうとしている、という場…

ドラッグ・ウォー 毒戦

2014/9/2鑑賞 監督:ジョニー・トー 見た中ではジョニー・トーのベスト。 ファーストショットからして、中国本土の大気汚染を存分に利用した煙の映画であることは分かる。煙があるということは風もまた見えるということで、港にはためく赤い旗の群れや、遠く…

トマホーク ガンマンvs食人族

2020.1.12鑑賞 監督:S・クレイグ・ザラー ゴアホラー寄りの、無慈悲な西部劇。なかなか面白かったけど、得意不得意がはっきりしている。 馬に乗った人を風景に収めるのは得意らしく、美しい。自然風景だけのショットも同様。ロングショットもまあ見れる。し…

デンジャラス・プリズン

2020.12.01鑑賞 監督:S・クレイグ・ザラー 上映時間132分という長さを感じさせない映画だった。出来事が起きるテンポが早くて、一箇所に留まることが少ないからか。展開のきっかけがほぼ全て暴力というのもいい。ストーリーの推進以外のあらゆるものが削ぎ…