呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

2021-01-07から1日間の記事一覧

影の軍隊

2013/12/9鑑賞 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 外套と帽子の映画。深い被写界深度、長回し、遠景、世界が凍ってしまったかのような色彩。これだけ人が笑わない映画も中々見ない。 個々の場面だと、逃げ込んだ床屋で外套を換えて貰った挿話と、銃殺刑さ…

坊やに下剤を

2013/12/16鑑賞 監督:ジャン・ルノワール ショット数が少なくフルショット主体であるところからも分かるように、当時のトーキー初期の戯曲映画化作品の一環という印象。 演劇・サイレント臭い演技(特に奥さん)がちょっとくどい。 ドアの活用や、カッティ…

ファミリー・プロット

2013/12/4鑑賞 監督:アルフレッド・ヒッチコック インチキ霊媒師を演じるバーバラ・ハリスがとにかく可愛い。霊媒に、麻酔注射に、ダイヤ発見に、とにかく演技をする女で、猛禽めいた可愛さ。 ヒッチコックは拳銃を固定させて使い、役者に自由な取り回しを…

三十九夜

2012/12/24鑑賞 監督:アルフレッド・ヒッチコック 傑作。 ヒッチコックお得意の巻き込まれ映画で、主人公が追われるためにありとあらゆる理不尽が逆算で配置されていく。その視点の制御の完璧さに息を呑んだ。サスペンスとは、窓を通して誰かを盗み視ること…

秋津温泉

2016/2/28鑑賞 監督:吉田喜重 音楽と演技への頼り方が通俗的だし、好みから言えばくどいんだけど、この男女のなにも生産的なものを重ねずにただ歳だけとっていくことの苦しみは確かにリアルである。 男女が文字通り追ったり追われたりするのをひたすら繰り…

ジョン・ウィック

2016/2/28鑑賞 監督:チャド・スタエルスキ 退屈だった。 アクションに緩急があるのはいいとして、それが専ら役者の動き(マガジン交換とか)によって作られていることと、カメラがそれを60~70点くらいでしか追えていないところが物足りない。構図、手…

コズモポリス

2016/3/27鑑賞 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 2回見た。原作はドン・デリーロの同名の小説。同年の『ホーリー・モーターズ』とリムジン映画として不思議な一致を見せたことも印象深い。 若き大富豪であるエリック(ロバート・パティンソン)は、リムジ…

パララックス・ビュー

2016/3/17鑑賞 監督:アラン・J・パクラ パラノイア映画らしい細部のなさと、人工的なショットの数々(撮影がゴードン・ウィリスなので陰影バキバキのすごい画面が続く)、そこに粗野な刑事ものの雰囲気を混ぜたような印象。70年代アメリカ映画ってこうい…

ドローン・オブ・ウォー

2016/4/3鑑賞 監督:アンドリュー・ニコル 低体温の映画。アフガニスタンで活動する無人兵器を遠隔で操作するパイロットたちを描いている。主演はイーサン・ホーク。 爆発音の聞こえない戦場、電話のスピーカーとして存在するラングレーなど、徹底的に「箱」…

マジック・イン・ムーンライト

2016/1/14鑑賞 監督:ウディ・アレン うーん、微妙。 ペシミストな合理主義者と、霊視の得意なロマンティックな若い女性との出会いをラブコメにするでもなく、単純な二項対立のストーリーにしている。 照明はかなりいいけど、それ以外にいいところがあまりな…

抜き射ち二挺拳銃

2016/1/14鑑賞 監督:ドン・シーゲル 面白い。上映時間74分でこの面白さ。 モノローグや多視点を活かし、無駄なく素早い語り口が展開される。ファムファタールの出てくる西部劇ということで、ノワールからの影響が感じられた。また冒頭と最後に躍動感のある…

プレイタイム

2016/1/4鑑賞 監督:ジャック・タチ 商業ビル街の実物大の模型ともいうべき巨大なセットを、かなりしつこくカメラで撮り続けた映画。 ものすごく人工的な映画で、かつコントロールしている対象があまりに大規模なので呆気に取られる。非常に情報量が多くて、…

レマゲン鉄橋

2015/12/26鑑賞 監督:ジョン・ギラーミン 「プラハの春」直前のチェコスロバキアで撮られたらしく、本物の戦車や橋を豪勢に使い、長い空撮をやってみせたり、戦車にカメラを並走させてみたり、すごい勢いで建物を破壊したりしている。チェコスロバキアなら…