呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

デトロイト

2018/02/04鑑賞

  • 監督:キャスリン・ビグロー
  • 実際にあったデトロイトの暴動で、警官による理不尽な尋問にあった被害者たちの話。イかれた奴らに無抵抗な人間が陵辱され続ける一夜の話としては『ある戦慄』などを思い出した。
  • 歴史再現映画の範疇は出ないが、黒人音楽の扱いに緊張感があり、ザ・ドラマチックスの一員として商業デビューしようとしていた歌手が、白人警官に陵辱されながら賛美歌を歌えと強制され、事件後に白人のためには歌えないと言って教会でゴスペルを歌うようになるという大筋以外でも......その歌手がナンパした女の子たちに連れられて部屋に行ったら、同じ黒人の男たちがいて、特に仲良くする動機もないまま女の子に促されて会話する場面がいい。
  • 相手が音楽のボリュームをあげると、歌手はレコードのボリュームを上げて「こっちの方がいい」とコルトレーンを聴かせ、コルトレーンについてお互い話す。互いに興味のない人間同士が、しかも同じ女を狙う男同士の緊張感と、黒人間の微妙な対立をはらませながら、機械から聞こえてくる音楽をぶつけあっていくダイアローグになっていて、ここはひょっとすると実話の再現なのかもしれないけど、なかなか面白かった。