呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

犯罪王ディリンジャー

2017/4/20鑑賞

  • 監督:マックス・ノセック
  • なんでデリンジャーがガスを使うんだ? めっちゃフリッツ・ラングっぽい画面だなと思っていたら『暗黒街の弾痕』からのフィルムの流用だった。
  • デリンジャー役のローレンス・ティアニーベン・アフレックに似ている。かなりの場面でしかめっ面。
  • 低予算なのでオフスクリーンや鏡の経済的な活用が目立つ。史実は微妙に変えているところが多い。ベビーフェイス・ネルソンなど実際のギャングの一味はほとんど登場せず。リトル・ボヘミア・ロッジは出て来るけど銃撃戦は行われない。木彫りの銃を使った脱獄や、アンナ・セージと出かけたバイオグラフ劇場で殺される場面はあったが。
  • 経済的語り口というが、ジョン・ディリンジャ―の一生を70分で簡潔に語るというよりも、ディリンジャ―を参考にしてオリジナルのギャング映画を作ったと言われた方がしっくりくる。古典ハリウッド映画のあっさりとした説話に慣れていても結構戸惑うのではないか。
  • 蓮實『ハリウッド映画史講義』では、B級映画の傑作として挙げられるが……これを見て即座に評価できるというのはすごいと思う。『犯罪王ディリンジャー』は低予算が見え見えの、単純すぎてあっけにとられるような映画だから。
  • なお、ここでいう「B級映画」とは”Poverty Row”と俗に呼ばれる場所で作られていた、1930年代前半から50年代頃までの二本立て興業の添え物映画のことを指す歴史的な用語のこと。