呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

翼に賭ける命

2017/2/28鑑賞

  • 監督:ダグラス・サーク
  • 完璧なアメリカ映画だった。増村のようなモダンな使い方とはまた違った、古典的なシネマスコープのモノクロ映画ってこういう風にやればいいのか。増村の『爛』でも思ったが、シネスコにおける仰角ショットの水準がここまで高い映画というのは......ただ画面を眺めているだけで全然楽しめてしまう。
  • 時代は禁酒法時代。遊園地の喧騒とそこから離れた場所の静寂。元英雄の曲芸飛行機乗り。夜中に半裸の美女と文学談義。ドサ回り映画。フォークナーの原作がどこまで残っているかわからないけど、20世紀的に大仰な言い回しがちょっと臭くて、最後の新聞社の場面で萎えてしまった。
  • 飛行機映画というとハワード・ホークスを連想するが、それこそ『コンドル』のように完璧な映画であった。そういやホークスこそフォークナーゆかりの映画監督である。