呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#制作国:フランス

飛行士の妻

2020/04/22鑑賞 監督:エリック・ロメール ロメールの映画は大体のところ、①人工的でよくできた脚本を、②生っぽい撮影によって崩していくという手法で撮られていると思しいのだが、これもそんな感じ。 その場の作り話や嘘で話を転がしていくことや、都合のい…

海辺のポーリーヌ

2014/12/22鑑賞 監督:エリック・ロメール アマンダ・ラングレの肉々しい後ろ姿がものすごくエロかった。ロメールはエロさを恩寵か何かだと思っている節がある。 人物配置を転がしていくだけで観客を引っ張り続ける脚本の巧さも目についた。

犯罪河岸

2015/10/24鑑賞 監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 野心家で好色そうに見えるが実は夫一筋のシュジ・ドレール、前頭ハゲで冴えないからか嫉妬に狂うベルナール・ブリエ。実はその前頭ハゲに思いを寄せている幼馴染シモーヌ・ルナン。この三角関係に、と…

顔のない眼

2016/7/8鑑賞 監督:ジョルジュ・フランジュ 画面で起きていることもさほど多くなく、この脚本のテンポは辛かった。 詳細な皮膚移植手術をかなり直接的に映すところや、失敗した顔面が時間とともに崩壊していく記録写真の場面など趣味嗜好を表現するところは…

素敵な歌と舟はゆく

2017/1/24鑑賞 監督:オタール・イオセリアーニ 超絶気持ちいいフレーミング。人間を歩かせるだけでなく、自転車やバイクを走らせ、船を走らせる。鳥も飛ばすし、犬がわんさか出てくる。電車の模型がくるくると動き回る。特に、予測しにくい鳥の動きがあらか…

七月のランデヴー

2017/1/10鑑賞 監督:ジャック・ベッケル 痛ましさも爽やかさもある青春群像劇。前半、電話のシーンがかなり続くため、視線も空間も生じなくてかなりじれったい気分になる。クラブの場面では前後左右上下が入れ替わりまくるダンスが、カメラに当たりそうなく…

肉体の冠

2016/6/14鑑賞 監督:ジャック・ベッケル 全編を通じてドアと窓の使い方が大胆かつドラマチックで圧倒される。出会いの場面ですでに特徴的な視線劇が展開されているが、脱走シーンやルカの殺害シーンなどでも、動線と距離が明確でアクションが盛り上がるのだ…

リヴァイアサン

2016/9/17鑑賞 監督:ルシアン・キャステイン=テイラー、ヴェレーナ・パラヴェル 巨大な底引網漁船アテーナ号のあちこちにカメラを引っ付けて撮影されたドキュメンタリー映画。 ほとんどが商業映画ではダメ出しされて使えないような不出来なショットばかり…

影の軍隊

2013/12/9鑑賞 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 外套と帽子の映画。深い被写界深度、長回し、遠景、世界が凍ってしまったかのような色彩。これだけ人が笑わない映画も中々見ない。 個々の場面だと、逃げ込んだ床屋で外套を換えて貰った挿話と、銃殺刑さ…

坊やに下剤を

2013/12/16鑑賞 監督:ジャン・ルノワール ショット数が少なくフルショット主体であるところからも分かるように、当時のトーキー初期の戯曲映画化作品の一環という印象。 演劇・サイレント臭い演技(特に奥さん)がちょっとくどい。 ドアの活用や、カッティ…

コズモポリス

2016/3/27鑑賞 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 2回見た。原作はドン・デリーロの同名の小説。同年の『ホーリー・モーターズ』とリムジン映画として不思議な一致を見せたことも印象深い。 若き大富豪であるエリック(ロバート・パティンソン)は、リムジ…

マジック・イン・ムーンライト

2016/1/14鑑賞 監督:ウディ・アレン うーん、微妙。 ペシミストな合理主義者と、霊視の得意なロマンティックな若い女性との出会いをラブコメにするでもなく、単純な二項対立のストーリーにしている。 照明はかなりいいけど、それ以外にいいところがあまりな…

プレイタイム

2016/1/4鑑賞 監督:ジャック・タチ 商業ビル街の実物大の模型ともいうべき巨大なセットを、かなりしつこくカメラで撮り続けた映画。 ものすごく人工的な映画で、かつコントロールしている対象があまりに大規模なので呆気に取られる。非常に情報量が多くて、…

月曜日に乾杯!

2016.9.22鑑賞 監督:オタール・イオセリアーニ 素晴らしい。 前半は画面で常に面白いことが起きているか、起きつつあるかであり、それが複数同時展開する。ひとつひとつのアイデアやアクションが意外性をもっていて、かつ小規模に炸裂しては次々と繋がって…