呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

マイケル・マン の検索結果:

イコライザー2

…をサボって麻薬売買をして、ギャング団に片足を突っ込んでいる黒人の若者とのエピソードでさらに補強されている。生活のために人は容易に魂を売り渡し、シニズムを口にするが、ロバート・マッコールはそのような落とし穴にははまらないのだ。しかし、何も知らない家族を背景にして「お前ら全員を殺す」と宣言したり、決戦の地であるゴーストタウンに殺された旧友の写真を貼ったりするマッコールさんが本当に病んでいないのか、気にかかるところではある。なお、ラストシーンは非常にマイケル・マン的な一枚画だった。

あるメイドの密かな欲望

…なほど堅い題材なのにマイケル・マン『パブリック・エネミーズ』みたいにカメラが荒っぽく動きまくる。揺れるカメラと性急なズーミング、被写体に不自然なほど近いカメラ、乱暴なパンなどが生ものとして作用して、映画の印象を変え、グズグズに崩しているように見える。そのせいでブラーが多く、画面がやや見づらいのはあまり好みではないが、、、まあ古典的にかっちりと撮られるよりは面白いか。 勿論それだけだと単に雑な映画になるところが、照明に妥協せず、狭い構図も作り、フレーム内フレームも駆使することで…

ザ・タウン

…レック 内容としてはマイケル・マンの名作『ヒート』から警察側の私生活をばっさりと切り、視点を犯罪者側に寄せて内面を掘り下げた上で、ラストの展開を変えたような映画で、概ねこのジャンルの典型的なシナリオをなぞるのだがベン・アフレックの演出力は卓越しており、また俳優の魅力が存分に引き出されている。 武装強盗の過程で、襲撃犯の男と、被害者の女がシチュエーションに似つかわしくないエロチックな触れ合いをもつことをあえて演出している。『夜に生きる』では靴下を口につめる行為で。本作では、ダイ…

刑事グラハム/凍りついた欲望

…1/25鑑賞 監督:マイケル・マン 夜景、海の見える家、白く、蒼い画面、美への執念。 シネスコと大きな窓ガラスがあり、その窓ガラスを通して視線が欲望として顕現し、果てに暴力へと結実する。 『コラテラル』の殺し屋にそっくりなウィリアム・L・ピーターセンは、犯人と同じ光景を見続けることによって鏡に映った像のように対称になる。 最後の対決で、巨大な窓ガラス越しに二人は初めてお互いの姿を目にするが、これは鏡に他ならない。そのあとトム・ヌーナンが真っ先に照明を破壊するのも、視線の侵入を…

ザ・テキサス・レンジャーズ

…脱獄シーンはちょっとマイケル・マン『パブリック・エネミーズ』に似ていた。 ボニーとクライドの顔をはっきりと映さないことで、彼らを有名人ではなく、匿名の怪物として演出している。足元しか映さないのにボニーがトンプソン機関銃の重さに負けているのが分かるところは良かった。 ケビン・コスナーが古い戦友であるウディ・ハレルソンを仲間に加えようとしてギリギリで思い直して立ち去り、次の場面で銃を大量購入しているとそこにハレルソンが現れる......という流れもいい。基本はドサ回りのクソ仕事で…

フォードvsフェラーリ

2014/2/10鑑賞 監督: ジェームズ・マンゴールド マイケル・マンの降板は残念だが、いかにも彼が撮りそうな官僚的な男VS流れ者という映画だった。よく言われているように、実際はタイトルに反して『フォードVSフォード』とでも言うべき内容。 チャンベールは演技しすぎだけど、声質がいいのでつい拳を握って盛り上がってしまう。 あと固定電話とラジオがないとやっぱ映画ってだめだね、と思わされる。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト

…シーンワンカットのHALO降下は『トゥモロー・ワールド』の長回しの応用としては最も馬鹿馬鹿しく面白いアイデアではないだろうか。耳鳴りが入るところとか、キュアロンへの目配せだと受け取った。 一番いいのはパリのシーン。車両の隙間を抜けていき逆走もする、フリードキンを上品にしたようなカーチェイスも最高だし、トイレでの格闘シーンもタランティーノ的な引き延ばしを交え、よく練られている。クラブの撮り方はちょっとマイケル・マンを連想した。 マッカリーは既存のテクニックを自分の物にしている。

暗黒街

…8/12/3鑑賞 監督:ステファノ・ソッリマ めちゃくちゃロマンチストな作り手によるマフィア抗争もので、挿入曲としてひたすらM83が流れている。 マイケル・マンみたい、というか絶対マイケル・マンのこと好きだろ……と思って監督のインタビューを読んだら、やはりというかマイケル・マンの映画版『マイアミ・バイス』が影響元として語られていた。 ワンシーンワンカットで人を殺すことにも拘っているのか、ものすごい勢いで自動車に2回跳ねられて死ぬ人が出てくる。なかなか見ることのできない死に方。

キリング・フィールズ 失踪地帯

…が野蛮の地テキサスで善き人間たろうとするが、現実がそれを許してくれない、という忍耐の映画。監督はマイケル・マンの娘。 女性の死体と断末魔に対するこだわりは一貫しており、そのあたりはちょっと面白いが、夜の場面が多いノワールをやるにしては照明とアクションが優れない。 昼間の、サム・ワーシントンとジェイソン・クラークの銃撃戦なんかはちょっと良かったんだが。冒頭はそこそこマイケル・マンの雰囲気がある。 クロエ・グレース・モレッツは歩かせているか自動車の助手席に乗せているかのどちらか。