呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

2021-02-05から1日間の記事一覧

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ

2014/10/8鑑賞 監督:フリッツ・ラング ラングの職人技が振るわれた一品。 グロリア・グレアムの隠された半分の顔は、彼女の二面性を示すと同時に、視覚的なインパクトをズラすことによって、復讐の手段になってもいる。つまり最初コーヒーをかけられた時に…

素晴らしき休日

2014/6/19鑑賞 監督:ジョージ・キューカー 演劇っぽくあるけど、楽しい。キャサリン・へプバーンがクローズアップのカットを交えながら初めて父親に真っ向から反論する場面では思わず目頭が熱くなってしまった。あの「遊戯室」の多幸感。 リュー・エアーズ…

ナショナル・ギャラリー 英国の至宝

2015/3/1鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン 面白かった。素直に、肉眼で絵画を見ることの不完全さ、不確かさについての三時間だと受け取った。 修復の不確かさ、X線や赤外線によって初めて見ることのできる下絵の存在。宗教画や物語絵画にしても、背景を…

アマルフィ 女神の報酬

2014/12/18鑑賞 監督:西谷弘 海外ロケの観光映画として作られておきながら、観光映画であることを至る所で皮肉る作品になっている。それは、タイトルになっているアマルフィの扱いを見るだけでもわかる。 映画自体はヒッチコック的な映画の最良の部類(ただ…

ディファイアンス

2014/12/10鑑賞 監督:エドワード・ズウィック ほどよく細部と挿話を入れながら枝葉を広げ、渡河と騎兵隊到着でクライマックスを作るあたりのバランス感覚が流石だ。河を前にして立ち止まってしまい震えるリーダーに、一人の女と若者が力を与え、再び歩き続…

フューリー

2014/12/1鑑賞 監督:デビッド・エアー エアーが脚本を担当した『トレーニング デイ』と比較すると、一人の人物(本作ではブラッド・ピット)に善悪の両方を統合させるというキャラクター造形が、あまり上手くいっていないように見える。 お話は古典的。メッ…

花子さん

2015/1/18鑑賞 監督:黒沢清 「学校の怪談」のスペシャルドラマシリーズに含まれる短編で第4話。 幼少期に見てトラウマを負ってから何度も見ているが、見る度に黒沢清の最高傑作なのではないかと思ってしまう(映像は貧相な感じで、とてもそうは見えないか…

友よ、さらばと言おう

2015/1/18鑑賞 監督:フレッド・カバイエ 現代ハリウッド的なアクション映画を撮ろうと頑張っているフランスという感じだろうか。 ヴァンサン・ランドンの再起を示すエピソードが上手くいってないように思える。過剰暴行でキャラ立ちをしたランドンが、息子…

氾濫

2015/1/8鑑賞 監督:増村保造 好色で金にがめついのに、見え見えの嘘をつき、悪人らしく笑い、基本的にあっさりと浅ましい内面を正直に告白する、ある意味、とても好感の持てる人間ばかり出てくる。 「君には娘は養えないだろ(要約)」「まるで不可能です!」

抱きしめたい -真実の物語-

2014/12/27鑑賞 監督: 塩田明彦 いわゆる難病もの。 演出、省略、反復の映画であることは確かで、例えばラストで錦戸に日本語で「愛してる」と言わせるために、他の場面では中国語や英語を使わせている。 他にも例えば血の繋がりを示すために、北川景子とそ…

早春

2018/8/23鑑賞 監督:小津安二郎 凄かった。あの蓮實重彦の「映画は見つめ合う瞳を映せない」とか何とやらといった言葉と、小津の真正面からの切り返しの関係性を初めて心から体感した。 終盤、浮気騒動で仲たがいした夫婦が地方にやって来て和解する場面。…

武士道シックスティーン

2016/10/19鑑賞 監督:古厩智之 映画見たーって感じ! その瞬間、その場限りの光とピント、そして当時まだ10代だった役者たちの生々しい記録。これこそ青春映画だ。 古厩監督の傑作と名高い『まぶだち』も見たいけど、VHSしかないのかよ。 二人で一緒に…