呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ダグラス・サーク の検索結果:

僕の彼女はどこ?

…5/10鑑賞 監督:ダグラス・サーク 自分が初めて見たサークはこれ。多幸的なテクニカラーに目を奪われた。 独身のまま晩年を迎えた億万長者が、かつて自分をフった女性の家族に10万ドルを上げたうえに、そこに下宿人として居座ることで、大金を突然手にした平凡な家庭がどう変わっていくのかを観察するというストーリーで、その趣向は悪趣味な気がするが、内容としては幸福な映画だった。 禁酒法時代の話で、途中で株が暴落する。 小規模なアクションが細かく滑らかにつながっていき、後景・前景、左右とそ…

突然の花婿

…5/18鑑賞 監督:ダグラス・サーク なんというバカ結婚喜劇! 『ぼくの彼女はどこ?』のママをパワーアップさせて、図々しい居候を15倍に増やしたら『突然の花婿』になると思う。軍隊から休暇を貰ったら、新妻と暮らすはずの実家が妻のママとその15人の愉快な親類たちに占拠されていて、しかもセメント工場の社長が立ち退きを要求してくるという破天荒な内容。 ママは自分のことしか考えていないし、セメント工場の社長は鉄道を通すことしか考えていないし、ガキは平等に悪戯をするし、15人の愉快な居候…

翼に賭ける命

…2/28鑑賞 監督:ダグラス・サーク 完璧なアメリカ映画だった。増村のようなモダンな使い方とはまた違った、古典的なシネマスコープのモノクロ映画ってこういう風にやればいいのか。増村の『爛』でも思ったが、シネスコにおける仰角ショットの水準がここまで高い映画というのは......ただ画面を眺めているだけで全然楽しめてしまう。 時代は禁酒法時代。遊園地の喧騒とそこから離れた場所の静寂。元英雄の曲芸飛行機乗り。夜中に半裸の美女と文学談義。ドサ回り映画。フォークナーの原作がどこまで残って…

心のともしび

…2/13鑑賞 監督:ダグラス・サーク めちゃくちゃよかった。ラストシーンでは、単純な切り返しが、視力を取り戻した彼女のPOVショットにしか見えなくなる。 メロドラマといっても画面が深刻になるところは少なく、基本的に享楽的な明るい画面作りがなされるが、一方で絶望的な検査結果を知らされたときにはこれでもかと影をつける。冒頭のモーターボートの激しさは良い意味で意外だった。 伴奏なのかというくらいに音楽の主張が強かった。 検査結果を知らされるために建物に入っていくジェーン・ワイマンが…

自由の旋風

…2/19鑑賞 監督:ダグラス・サーク アイルランド独立運動を題材にとった歴史コスプレエンタメ映画で、クオリティは高いと思うけど、いきなり殴り合いをはじめるようなアイルランドの牧歌的な粗暴さがサークの資質にあっていないように思えてアクション全般にノレなかった。 最後の河岸の銃撃戦など、近景と遠景を同時に取り入れたアクションの設計や、細かい動作が繋がっていく快感は健在。天窓を通じて人が見えるのは、『心のともしび』を思い出す構図だけど、これも銃撃に繋がっていく。 サークにしては光が…

ア・ダーティ・シェイム

…イレイなる男がボルティモアの街を洗脳・侵略していく過程なのであるが、相変わらずジョン・ウォーターズの映画はダグラス・サークみたいに牧歌的なクレーンショットと美術・衣装・光などから始まる。セックス嫌いの集会場所がコンビニってのも侘しいよな。 性器の形をした木々や茂み、幽体絶頂、汚物崇拝、赤ちゃんプレイの警官、吐き専、スカトロ、食事をぶっかけられて感じる性癖、等々とにかくアイデアだけは出し惜しみしていないので、単調さは否めないものの圧倒される。 圧倒すればいいというものではない。