呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ハワード・ホークス の検索結果:

フェイブルマンズ

…フォードというよりはハワード・ホークス的な作家じゃないですか? あの幼稚性、破天荒さや、それが面白いと思ったら全体の構成よりもアクションや見せ場の面白さに傾倒していくような感覚はどちらかといえばハワード・ホークス的だし、『ジュラシック・パーク』は『赤ちゃん教育』じゃないかという。 確かに『宇宙戦争』の最後はまんまフォードの『捜索者』だし、他にも多くの影響を受けているんだろうけど。ここで言いたいのは、作家としての資質の話。 ほとんど妄想だけど、カリフォルニアに移住したフェイブル…

最前線

2016/10/2鑑賞 監督:アンソニー・マン 独特の斜面に、歩兵たちがへばりついて動かないところをゆっくり白煙だけが移動していって、カメラがそれについていく。わくわくするオープニングである。 歩兵ものの有名作ということで、実際、視線はとても低くて全体の状況は最後までわからない。お金はそこまでかからなさそうだ。見えない敵といえばハワード・ホークスの『永遠の戦場』だなあと思い出しながら見ていた。ミニマルな戦争映画の撮り方として、一つの理想形ではないかと思う。

紳士は金髪がお好き

…8/11鑑賞 監督:ハワード・ホークス ただひたすらダイヤモンドとお金持ちが好きなマリリン・モンローがハワード・ホークス流に狂っている。 本作のマリリン・モンローは本当にダイヤモンドとお金持ちが好きなので、他人の奥さんのものだと知っていてもダイヤのティアラを欲しがるし、あろうことかその奥さんの夫をたぶらかして殆ど盗難同然で持ち帰ってしまう。もちろん、それを指摘されても全然悪びれないし、その夫との浮気(っぽいやりとり)を自分の婚約者に報告されても、むしろ浮気調査をやった婚約者に…

翼に賭ける命

…のは......ただ画面を眺めているだけで全然楽しめてしまう。 時代は禁酒法時代。遊園地の喧騒とそこから離れた場所の静寂。元英雄の曲芸飛行機乗り。夜中に半裸の美女と文学談義。ドサ回り映画。フォークナーの原作がどこまで残っているかわからないけど、20世紀的に大仰な言い回しがちょっと臭くて、最後の新聞社の場面で萎えてしまった。 飛行機映画というとハワード・ホークスを連想するが、それこそ『コンドル』のように完璧な映画であった。そういやホークスこそフォークナーゆかりの映画監督である。

暗黒街の顔役

…12/9鑑賞 監督:ハワード・ホークス ちょっとサイレント映画を引き摺っているようなオーバーアクトが目につくものの、すこぶるかっこいい。 妹と喧嘩する場面でのレースカーテン越しの斑の陰影、襲撃されて床屋で電話する際の真っ黒に塗りつぶされた身体、オズグット・パーキンスを殺害したあとに情婦役のカレン・モーレイに会いに行く時の半明半影の顔といよいよきな臭くなるあたりで照明がギラついてくる。 今回の電話ネタは、電話越しに相手をおちょくるのではなく、不出来な秘書の一人芸であった。 視覚…

赤ちゃん教育

…/9/5鑑賞 監督:ハワード・ホークス 軽い気持ちで見始めたら、いつの間にか最後まで見てしまっている。ホークスはクラシック映画の中でも一番見やすいし、誰でも楽しめると思う。 ハントを軸にとことんホークス的な要素が入り乱れる圧巻のコメディ。その過程で男は若さを取り戻すというあたりもホークスらしい。『ジュラシック・パーク』で引用しているが、あらゆるスピルバーグの映画はこれが原点なのかもしれない。 豹から逃げて人間たちが自ら牢屋に入る絵面がとても可笑しい。結局、ハントと誤解・取り違…

ヒズ・ガール・フライデー

2012/10/15鑑賞 監督:ハワード・ホークス ホークスらしいハント(狩り)のお話。好きな女を捕まえるという目的に、手段を選ばないという制限解除を与えただけで、ここまで何でもないお話が転がりに転がり、面白くなるというのは感動的だ。そして、弾丸のように連射される台詞が、純粋に速さとしてどんどん映画を加速させる。 タランティーノがどこかでベストに挙げていた。