2016.1.17鑑賞
- 総監督:新房昭之
- 監督:尾石達也
- 怪作。シネコンでやっていい領域は悠々と踏み越えている。喘ぎに近い呼吸音と、執拗な「歩き」によってテンションを作る演出とはいえ、時間を使い過ぎているのではないか。時間をあまりにも贅沢に使っているので一時間くらいかけても導入部分しか終わっていない。歌舞伎か?っていうテンポ感。
- なにしろ、膨大な画・モノローグ・アイデアがあっという間に放蕩されていく豪華なつくりがTV版だったわけで、それと対照的にこの映画は観客に忍耐を強いるリズムになっている。
- とにかく歩く。しつこ過ぎるくらいに歩く。『その男、凶暴につき』並に歩いている。『アマルフィ』みたいにひたすら「ハァハァ」と喘いでいる。音響はチョー自由。
- 地下鉄でキスショットと出会う場面は素晴らしい! 呼吸音のような、呪文のようなキスショットの声色が街から明かりを消していき、そこにモールス信号が重なり、明滅する街灯の下には「SUBWAY」の文字と階段の入り口、そこには誘うように赤い血痕がある……。「血ではない、赤だ」と言いたげなほど真っ赤。
- 日章旗はとりあえず太陽として使われていた。あと、電車のモチーフが何気にたくさん使われているなあ。
- 羽川さんとロリババア化したキスショットの表情の豊かさ、フェチいサービスショットの多さ、ある意味ではこれが一番楽しかったかも。