呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

フリッツ・ラング の検索結果:

スカーレット・ストリート

…0/17鑑賞 監督:フリッツ・ラング 銀行で真面目に勤め上げてきた冴えない中年サラリーマンのクリス・クロスは、暴漢に襲われている美女キティ・マーチを助ける。女優を自称するキティに魅了されたクリスは、とっさに自分が金持ちの画家だと嘘をついてしまう。実はキティは娼婦で、暴漢に襲われているというのも、ヒモのジョニーと揉めていただけだった。クリスのことを聞いたジョニーはクリスから金を毟ることを考え付く。5年前に未亡人アデルと結婚したクリスだったが、前夫を偶像化するアデルには趣味の絵も…

暗黒街の弾痕

…1/11鑑賞 監督:フリッツ・ラング いわゆるボニーとクライドもののひとつ。アマンダ・サイフリッドは本作のシルヴィア・シドニーにそっくりだということを発見し、彼女がシネフィル気質の映画監督から愛される理由を知った気がする。 なんといっても二人が鉄格子越しにキスをする場面の強烈さが印象に残る。ドアを開けた瞬間、鉄格子に走り寄ってくるシルヴィアの顔にカメラがぐーっと寄って、切り返すと「出所なのに嬉しそうじゃないな」と看守にさっき言われたばかりのヘンリー・フォンダが人でも違ったかの…

完全なるチェックメイト

…国心へ、ということでフリッツ・ラング『マンハント』のような処理もできたわけだが、そのあたり伝記映画であるから違う展開になったということだろう。そういうバージョンも夢想したくなるいい素材。 米ソ冷戦は背景であり、実際的にフィッシャーを阻害してくるわけではない。現実にフィッシャーに立ちはだかるのはチェスの内的な問題であり、唯一セコンドの神父だけが彼に意見をする。他はみな首を垂れる。結局、スパスキーに勝てない原因はフィッシャーが内的に解決したように見える。 内向的な映画だけど、テレ…

犯罪王ディリンジャー

…使うんだ? めっちゃフリッツ・ラングっぽい画面だなと思っていたら『暗黒街の弾痕』からのフィルムの流用だった。 デリンジャー役のローレンス・ティアニーはベン・アフレックに似ている。かなりの場面でしかめっ面。 低予算なのでオフスクリーンや鏡の経済的な活用が目立つ。史実は微妙に変えているところが多い。ベビーフェイス・ネルソンなど実際のギャングの一味はほとんど登場せず。リトル・ボヘミア・ロッジは出て来るけど銃撃戦は行われない。木彫りの銃を使った脱獄や、アンナ・セージと出かけたバイオグ…

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ

…10/8鑑賞 監督:フリッツ・ラング ラングの職人技が振るわれた一品。 グロリア・グレアムの隠された半分の顔は、彼女の二面性を示すと同時に、視覚的なインパクトをズラすことによって、復讐の手段になってもいる。つまり最初コーヒーをかけられた時にはその顔の火傷を画面から隠すことで、そして復讐の際にはじめて明らかにすることによってリー・マーヴィンに暴力のインパクトをそのまま丸投げしているのだ。 また、グレン・フォードとリー・マーヴィンが中盤、あわや衝突しかけるところのカッティングには…

恐怖省

…/1/8鑑賞 監督:フリッツ・ラング 凄まじい傑作。ほぼ全編にわたってみなぎる霊気というか、いまにも幽霊が出そうな感じがやばかった。扉が出てくるシーンはすべてもうただ事ではない。 どの場面も照明による影のつけかたやレイアウトが漫画のように完璧で、しかもそれがアクションの中でも全く崩れない。絵と違って、セットにせよ役者にせよ全部実際に用意して実際に動かさないといけないし、普通に撮ればある程度は雑味が出てしまうはずである。その制約の中で、ここまで完璧に人工的な美を提出されてしまう…