呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

#1960年代

モデル連続殺人!

2016/7/20鑑賞 監督:マリオ・バーヴァ ブライアン・ デ・パルマまで通底するドギつい偏執的な感覚。凝りすぎの美術、ギトギトした色彩、映画的創意工夫の数々。美女を殺す、殺す、殺す。揺れる赤い受話器。 会話シーンが弱くて眠たくなる。ジャーロ映画の良…

影の軍隊

2013/12/9鑑賞 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル 外套と帽子の映画。深い被写界深度、長回し、遠景、世界が凍ってしまったかのような色彩。これだけ人が笑わない映画も中々見ない。 個々の場面だと、逃げ込んだ床屋で外套を換えて貰った挿話と、銃殺刑さ…

秋津温泉

2016/2/28鑑賞 監督:吉田喜重 音楽と演技への頼り方が通俗的だし、好みから言えばくどいんだけど、この男女のなにも生産的なものを重ねずにただ歳だけとっていくことの苦しみは確かにリアルである。 男女が文字通り追ったり追われたりするのをひたすら繰り…

プレイタイム

2016/1/4鑑賞 監督:ジャック・タチ 商業ビル街の実物大の模型ともいうべき巨大なセットを、かなりしつこくカメラで撮り続けた映画。 ものすごく人工的な映画で、かつコントロールしている対象があまりに大規模なので呆気に取られる。非常に情報量が多くて、…

レマゲン鉄橋

2015/12/26鑑賞 監督:ジョン・ギラーミン 「プラハの春」直前のチェコスロバキアで撮られたらしく、本物の戦車や橋を豪勢に使い、長い空撮をやってみせたり、戦車にカメラを並走させてみたり、すごい勢いで建物を破壊したりしている。チェコスロバキアなら…

眠狂四郎無頼剣

2017.3.10鑑賞 監督:三隅研次 シリーズ第8作目。市川雷蔵VS天知茂で、かつ円月殺法VS円月殺法という豪華な仕立てだけど、いかんせんシナリオが複雑すぎてついて行く気が失せる。画面で起きてないことをセリフに詰め込んでる場面が多過ぎないか? 刀は宙を…

座頭市喧嘩太鼓

2015.3.17鑑賞 監督:三隅研次 大映最後の座頭市であり、実験的な演出が連発される、正真正銘の傑作。 戸口を踏み越えて屋内に入る瞬間、段々と暗くなっていった勝新の身体が、完全にシルエットになると同時に居合斬りをする場面が凄かった。ちゃんと抜刀の…

ゲバラ!

2017/4/7鑑賞 監督:リチャード・フライシャー いきなりゲバラの死体と当時のニュース映像を分割画面で繰り広げるし、色んな人がカメラを見て話す多重回想形式になっていて、フライシャー!な映画だった。 あまり面白いとは思わないけど、フライシャーの映画…

婚期

2016.9.5鑑賞 監督:吉村公三郎 行き遅れた妹たちが、小姑として兄嫁と熾烈な嫌味合戦を繰り広げるホームドラマで、若尾文子、高峰三枝子、野添ひとみ、京マチ子が丁々発止の会話劇を繰り広げる。 造形性から言えば傑作。「歯医者で口を開いている人物のカッ…