呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

西谷弘 の検索結果:

昼顔

…6/10鑑賞 監督:西谷弘 公開初日に見に行った。 海が出てきても、快晴でも、最初から黒沢清みたいに不自然に灰色な映画だからきっと陰惨なことになるだろうと思っていたらあんなことに...。 西谷弘なのに横顔のショットがない、ない、と思っていたら最後に見事なものが見れたので満足した。 前半は視線が合うことをサスペンスとして撮っているけど(だから主演の二人は向き合わない)、中盤にそういう即物的なロジックがないからきつかった。 クライマックスは流石に凄かったので持っていかれた。とはい…

県庁の星

2015/4/7鑑賞 監督:西谷弘 メッセージにまったく共感できないので終盤ちょっと萎えたけど、横顔の見事な撮影や、感情の視覚化など、映画としては見どころたっぷり。 大筋がシンプルなので、卓越した情報処理能力は脇役に回していた。丁寧に顔を拾っていく。 スーパーマーケットは動線がきっちり決まっているので、もしかしたらアクション映画などでうまく活かせるのかもしれない。

アマルフィ 女神の報酬

…2/18鑑賞 監督:西谷弘 海外ロケの観光映画として作られておきながら、観光映画であることを至る所で皮肉る作品になっている。それは、タイトルになっているアマルフィの扱いを見るだけでもわかる。 映画自体はヒッチコック的な映画の最良の部類(ただし、ヒッチコックなので脚本はでたらめというか陰謀論的というか)。 観光スポットの映画への取りこみ方については、生っぽい観光ガイド的な撮り方がまず図太い。また、観光ガイド的な説明がなされたのはミネルヴァ警備の施設だけだったような気がするが、ま…

クロール ー凶暴領域ー

2019/11/10鑑賞 監督:アレクサンドル・アジャ ビーチのイメージがあるフロリダで、あえて色調を落とした黒沢清みたいな画面作りをしている点で西谷弘『昼顔』を思い出し、好印象の序盤。 閉鎖状況のサスペンスや父娘のドラマにはいまいちノレなかったが、終盤、「台風の目に入る」→「ボートまでの水泳を覚悟」→「堤防決壊のサイレン」→「台風の目から出る」というクライマックス演出の畳み掛けには非常に興奮した。 水位上昇によって民家を舞台にワニと泳ぎまくる後半の方が面白かった。

マチネの終わりに

2020/06/18 鑑賞 監督:西谷弘 悪い意味で文学臭過ぎるセリフ、金持ちのスノッブ趣味、常に鳴るギターの劇伴、などがあまりに耐えがたく、映画を完全に破壊しているように思えた。一時間で見るのをやめた。 照明、編集など、随所に力量の高さが見えるものの、話のしょうもなさを超えるものではなく、むしろ技術が高ければ高いほど虚しく感じられた。 飛行機と掃除機の音を引っかけるなど、カット繋ぎでの音の遊びが目立つ。

真夏の方程式

…2/22鑑賞 監督:西谷弘 こんなに複雑で過去への引力に満ちた題材を映画として何とか成立させてしまえる西谷弘はすげえなあと思いながら観ていた。 マルチタスクばかりやる福山雅治のキャラクターや、情報機器の発達を、物語上複数ある題材の同時処理というストーリーテリングに利用しているが(ワンシーンあたりどれだけの情報を捌いていることやら)、思い返してみるとぞんざいに扱われていたのはいつも吉高由里子であった。メインで喋るのは2人でも、会話シーンには3人登場させて割り込ませると会話が場面…