呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

監督:黒沢清 の検索結果:

ドレミファ娘の血は騒ぐ

2017/2/7鑑賞 監督:黒沢清 脈絡なく強いショットが並ぶので興奮するけど、作品の制作背景にもなっている当時の時代背景や80年代のノリが古びてしまっていて、こういう時代があったんだなという感慨に耽ってしまう。ゴダールの影響を受けたシネフィルっぽいというか。 ホームビデオみたいな粗い映像のパートの必要性がわからない。 元々はロマンポルノとして作られたらしくヌードも出てきます。 スコリモフスキの映画には鏡を運ぶモブが出てくるが、この映画には梯子を運ぶモブが出てくる。

花子さん

…15/1/18鑑賞 監督:黒沢清 「学校の怪談」のスペシャルドラマシリーズに含まれる短編で第4話。 幼少期に見てトラウマを負ってから何度も見ているが、見る度に黒沢清の最高傑作なのではないかと思ってしまう(映像は貧相な感じで、とてもそうは見えないかもしれないが)。 黒沢清は幽霊との因縁を直接繋げずに、人間心理とは無関係に作動する純粋な装置としての幽霊を据えることでホラーから「理由」を消し去ることに成功したと思うのだけれど、本作はその充実した結晶だ。 登場人物の過去の記憶に齟齬を…

散歩する侵略者

…017/9/9鑑賞 監督:黒沢清 つまらない。 タイトルが出るまでは最高だった。女子高生の制服を血で汚して、車道のど真ん中を歩かせるだけですごい効果がある。奥行きがつぶれて平面的なのもいいし、音楽も景気がいい。 思うに、宇宙人のとる特異な行動が「概念を奪う」ことしかなく、そこにアクションがない。奪っている概念は違うものの、外形的には同一のことが繰り返されるのでテンポが悪いと感じるのだ。 予算が中途半端なのか、政府の介入も中途半端で、全体的にリアリティの無さやバランスの悪さが目…

木霊

…18/3/27鑑賞 監督:黒沢清 90年代黒沢清の才気が感じられる一品。短編だと「花子さん」の次に好き。 運命へと一直線に向かうプロットは「花子さん」同様。いじめられっ子による復讐という点も同様。過去の因縁は「花子さん」の方がより複雑に捻ってあって、「木霊」の方が筋を追いやすい。 黒沢清は、運命論的なストーリーによって失われた自由を、空間演出のほうで取り戻している、ということではないだろうか。縦構図では人物を次々と動かしていくし、トイレを撮るときなどに顕著な、非人間中心的な移…