呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

フレデリック・ワイズマン の検索結果:

ボクシング・ジム

…6/16鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン テキサスにあるボクシング・ジムの風景を映す。試合はない。特にこれといった事件は起きない。ただ、100点のショットを100点の編集でつなぐような完璧な面白さがある。 同じワイズマンでもバレエ映画(『パリ・オペラ座のすべて』、『アメリカン・バレエ・シアターの世界』など)を思い出す。 鏡の前で練習するところとか。(鏡により分割される肉体にカメラを向ける性向) 身体で覚えるものを言語で教えるところとか。 晴天を映したショット。次は晴天を背…

霊長類

…9/21鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン 動物実験を扱ったドキュメンタリー映画。 亜人種に感情移入するのは簡単なので、猿の脳に電極埋めて電気信号で交尾させたり、解体したりするのを見ているとヤバい。猿の鳴き声がだんだんと悲鳴とか怒号のようにしか聞こえなくなる。 最終的に電極を埋められた猿が、飛行機を使って無重力化に置かれる実験を受けるんだけど、猿の実験に対する無関心さに惹かれる。 『ナショナル・ギャラリー』とか『パリ・オペラ座のすべて』とかのワイズマンは、非言語的なもの(絵…

高校

…8/14鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン クローズアップがかなり多くて、教師と生徒の肉体的な差を観察・対比させるような映画だった。教師の禿げ頭のあとに、音楽に合わせて体操する女生徒の下半身をなめるように撮ったり、醜い眼鏡の女教師と対比して、娼婦のような女生徒を撮る。 ペンを口でねぶる女生徒。喋る口元へのクローズアップや、無意識に動く手先へのクローズアップが目立った。あと指輪はめてる生徒が多いな! サングラスをかけている生徒もいるし(いいんだろうか)。 ファッションの授業で…

ナショナル・ギャラリー 英国の至宝

…/3/1鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン 面白かった。素直に、肉眼で絵画を見ることの不完全さ、不確かさについての三時間だと受け取った。 修復の不確かさ、X線や赤外線によって初めて見ることのできる下絵の存在。宗教画や物語絵画にしても、背景を前提に描かれているので単に見るだけで完結することはできない(この場面については、絵画の背景という目に見えないものを説明する学芸員への皮肉という解釈の方が正しいか)。 自然光での鑑賞を前提に描かれた作品が蛍光灯の均質な光の下に置かれることへ…

BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界

2018/3/7鑑賞 監督:フレデリック・ワイズマン 面白かった。 公演以外が面白いので、やっぱり映画と小説は少し似ていると思った。逆に公演の場面は、カメラの視点の制約が大きすぎるので、映画の利点をほとんど捨ててしまっている。 バレエシューズを並べる女性。集められたくしゃくしゃのシューズ。犬を連れてくるダンサー。浜辺でのテニス。強風のなかでの凧あげ。オイルを塗る。「ビーチバニーと呼んで」「ビーチファニー?」