呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ボクシング・ジム

2022/6/16鑑賞

  • 監督:フレデリック・ワイズマン
  • テキサスにあるボクシング・ジムの風景を映す。試合はない。特にこれといった事件は起きない。ただ、100点のショットを100点の編集でつなぐような完璧な面白さがある。
  • 同じワイズマンでもバレエ映画(『パリ・オペラ座のすべて』、『アメリカン・バレエ・シアターの世界』など)を思い出す。
    • 鏡の前で練習するところとか。(鏡により分割される肉体にカメラを向ける性向)
    • 身体で覚えるものを言語で教えるところとか。
  • 晴天を映したショット。次は晴天を背景にした木のショット。エンジン音。ボクサーの人形。「ボクシング・ジム」の看板。ミットを打つ音。ジムの外観。夕暮れの洩れこむ室内。同軸の寄りのショット。備品。グローブ。ポスター。ポスター。ポスター。2~3秒で反復する。サンドバッグを打つ音が大きくなっていく。「ジャブ」「ジャブ」「ジャブ」というトレーナーの声。そこから声の主が映って、子供がミット打ちをする場面が入る。この導入が完璧に気持ちよくて何度も見てしまう。
  • 鏡があるので多くのカットで複雑な奥行きが出せている。