呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

2020/06/28鑑賞

  • 監督:グレタ・ガーウィグ
  • 素晴らしかった。画面の感情や表情がころころと変わり、編集で驚きを作っていく手法はそのままだが、原作ものの制約からか少しだけ抑えめ(実際、かなり忠実な内容)。その代わり、時系列を入れ替えた語りが採用されているということかな。
  • ガーウィグの唯一無二の魅力は、この落ち着きのなさ。どうやって成立させているのかよくわからない謎のリズム感だろう。
  • 若草物語』の二巻目の時点から、一巻目の内容を回想し、織り交ぜて語るという手法で、これは古典の翻案としてかなり上手くいってると思う。一巻目は素晴らしき少女時代ということで暖色、二巻目は現実との対面ということからか寒色。まんま青春小説の方法論だけど、組成はかなり複雑なので実際に取り回すのは難しそう。一巻目と二巻目のクライマックスが同時にやってくる場面は、その対称性も含めて鮮烈だ。
  • ダンスシーンを見ていると、あまりアクションを撮るのは上手くなさそうだが(あるいはアクションを撮ろうというつもりがないのか)、居場所がないからといって建物の外でジョーとローリーが踊るところはよかった。
  • ジョーの結婚に対するメタ的な処理は、オルコット本人が結婚していないことを踏まえてのものだろう。