呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

7月22日

2020/04/12 鑑賞

  • 監督:ポール・グリーングラス
  • 2011年に世界を騒がせた、ノルウェーでの連続テロ事件を扱った実話もの。
  • 犯人が一方的に子供たちを射殺していくウトヤ島での凄惨な事件そのものは前半で終わる。視点は「犯人(ブレイビク)」、「ウトヤ島の子供達」、「その親・政治家」の概ね3つが並行しながら進み、むしろ映画の重心は事件の余波にある。具体的には、事件にあって奇跡的に生還した少年家族とブレイビクを裁く公判にあるのだ。
  • ブレイビクは政治的に偏向した大量殺人鬼で、映画に出てくる悪役としては特に面白みのある人物ではなく、背景もありがちだ。被害者が政治家の家族(でノルウェー労働党青年部だった)というのは知らなかったので新鮮だったけど、ブレイビクの思想の前提となっているノルウェーの移民社会は具体的に描写されないので(事件と同じ厚みでその背景を語るのは2時間の実写映画には厳しいだろう)、特に語るべき内容がなく、時間だけが過ぎていくような印象があった。
  • 見ていて、この題材を面白くするのは意外と難しいのかもしれないと思い、途中でやめた。
  • ウトヤ島での殺戮を長回しで撮った映画もあるらしいけど、そういうアプローチもなあ……事件としては衝撃的だけど、展開が少ないから劇映画にするのは難儀しそう。