呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

M・ナイト・シャマラン の検索結果:

レディ・イン・ザ・ウォーター

…/5/6鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 2回目か3回目。良い。 『ヴィレッジ』や『オールド』のような種明かしのない、純粋なおとぎ話であり、通常ほどこされるようなリアリティに関する注意、配慮がほとんど意図的に放棄されている。つまり、良識のある大人なら一笑にふすような薄っぺらいおとぎ話を、大人たちが信じて協力するという一点にエモーションが生まれるわけだ。 ブライス・ダラス・ハワードが水の精である、ということはその病的な色白さと瞳の色だけで示されて疑いが挟まれる余地はない。そし…

オールド

…/3/9鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 2008年『ハプニング』、2015年『ヴィジット』以来のカルトなシャマランの気配が濃厚な新作であり、面白かった。強いて言えばちょっと長いかな。 時間が急速に経過するプライベートビーチという、特殊な閉鎖空間内でのサスペンスが展開されるという大ネタは聞いていたものの、それ以上に驚くのはかなり過激なレイアウト・フレーミングが頻出することだ。また、カメラが180度、360度回転するような長回しも多く、全体的にシャマランの技巧的な側面が強く出…

ヴィレッジ

…11/6鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン シャマランの撮るハイファンタジーが見たい、と思わせる、見事なまでの演出と絵作り。脂が乗っている。シャマランの最高傑作のひとつだと思う。 シャマランの特徴として、垂直に伸びる縦の構図、演出が挙げられると思う。シネスコで撮っておきながら左右を捨てることも多いけど、大事なところで左右をロマンチックに使うので見過ごせない。 あと、殺人という暴力的な場面で、まったく無関係なものに静かにズームしていくカメラが印象的だ。とても上品なズームであり、…

ミスター・ガラス

…1/18鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 脚本の流れはかなりよかった。二人の超人の直接対決を出し惜しみせずに序盤からやってくれるのが嬉しい。その後は、ブルース・ウィリスもジェームズ・マカヴォイも一旦捕えられてしまうんだけれども、『羊たちの沈黙』でレクター博士を捕らえておく展開のように、一度捕まってしまったからこそ味わえる「脱獄」のスリルが期待されて、申し分ない。この映画の面白さはシャマランの脚本ライティング能力にかなり負っていると思う。 それぞれ『アンブレイカブル』、『スプ…

ヴィジット

2016/9/13鑑賞 監督:M・ナイト・シャマラン 要素要素は平凡なんだけど、それぞれ微妙にズレていて異様なバランスになっている。ロジックが見えないし、才能がないと撮れないなと思わされる。 日常、美しさ、キモさ、狂気、恐怖、ベタなメロドラマなどが渾然一体になって油膜のように揺れている。怖いと言えば怖いけど、それ以上に意味が分からないし、かといって笑えるわけでもなく、ただ茫然となる。 岩明均「和田山」が比較的これに近い感覚かもしれない。 傑作である。