呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

オリヴィエ・アサイヤス の検索結果:

レディ・アサシン

…/5/4鑑賞 監督:オリヴィエ・アサイヤス 傑作。原題は"Boarding Gate"。 元娼婦のサンドラ(アーシア・アルジェント)が、やや不本意な形で人殺しになる。 映画冒頭、金属のドアがひしぐ音を聞いた瞬間に気づいたのは、画面のフレーム内全てにピントが合わずボケているのは、私達観客の視覚を奪い、聴覚を奮い立たせるためである、ということだ。それくらい、音がいい。ほとんど音の映画だ。ちなみに音楽はブライアン・イーノが担当しており、したがって本作のBGMは全編、環境音によって響…

カルロス第3部

2013/11/27鑑賞 監督:オリヴィエ・アサイヤス 人や歴史を語る年代記の最後はいつだって悲しい。 本作のカルロスに華々しい活躍を望むのは叶わない。彼の肉体はぶよぶよと醜く太り、追手から逃げるために家は一定せず、恋人とは喧嘩をし、酒に酔って踊るばかり。 『ミュンヘン』の殺し屋たちのように客死するかと思えば、テロに参加したメンバーはみな裁判を受けているようで、やはり『ミュンヘン』などよりは爽やかなところがある。

カルロス 第2部

…1/24鑑賞 監督:オリヴィエ・アサイヤス オープニングの不協和音とノイズの嵐に、オリヴィエ・アサイヤスの映画を観ているという実感が得られる。 OPEC本部占拠・各国石油相人質事件をじっくり描いてくれる第二部は、いささか早足気味だった第一部に比べて楽しめた。 カルロスの男性性(肉体や女性の征服)は依然誇示され、資本主義と戦う兵士にも関わらずロックバンドやベンチャー企業のカリスマのように描かれる。今回は独立さえ果たすわけだし。メンバーの引き抜きや追放の顛末もそれらを髣髴とさせる…

カルロス 第1部

…/5/8鑑賞 監督:オリヴィエ・アサイヤス 実在したイリイチ・ラミレス・サンチェスという極左テロリストの半生を題材にとったテレビ映画を劇場版に組みなおした、その第1部。 ひたむきな労働の映画、という印象がある。青春として撮っているかもしれない。 サスペンスらしいサスペンスは逮捕されたアンドレがカルロスの目の前で告発する場面の前後くらいで、あとは労働に勤しむ極左テロリストたちを淡々と映しつづけるのみだ。であればその寓意は何なのか? しかし、拳銃やら手榴弾やらと肉体が交わるエロチ…