呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

イヌミチ

2016.1.22鑑賞

  • 監督:万田邦敏
  • 何でも選べるはずの自由な現代社会で、自由からほど遠い若い男女が、気の迷いで犬と飼い主の関係を結ぶという話。
  • 特にコメディという枠組みもなく、自然な演技のなかで犬と飼い主のプレイをやる。一見、反理性的な内容なのだけど、実のところこれ以上ないほど作り物めいていて、前半はめちゃくちゃ窮屈で見ているときつい。……作り手はこれが不自由であることを自覚しているため、後半はそれを解消する展開がつるべ打ちされることになる。
  • 「飼い主役の男の恋人がやってくる」、「飼い主のほうが唐突に犬になる」、「職場で犬になって上司にかみつく」などの反理性を畳みかけて、ややカタルシスがもたらされたあと、男女は自分たちがまったく自由ではないことを再確認するのであった。
  • 後半のカタルシスがちょっと中途半端で、もっと徹底してくれないとこちらも満足できないという感想を持った。
  • 編集は万田邦敏が兼任していて、(いつもながら)キレキレですごい。