呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

濱口竜介 の検索結果:

ドライブ・マイ・カー

…0/15鑑賞 監督:濱口竜介 車の運転は運転でも、毎日の通勤の運転にともなうドライブの快楽にフォーカスが当たっていた。 異なる要素の同時成立という濱口映画のシステムが、演技の質の違いさえも取り込んで消化しており、非常にしみじみとスリリングだった。 つまり『寝ても覚めても』ではわりとゴロっと並置されていた演技の質の違い、が今回は劇中劇を通じて消化されていた、ということである。 例えばそれは、三浦透子の実家跡を尋ねたあと西島秀俊が感情吐露する場面での、あからさまに陳腐な感情芝居と…

天国はまだ遠い

…/22 鑑賞 監督:濱口竜介 38分ほどの小品。 女子高生の幽霊(三月)と同棲するAVのモザイク付け職人が、ふとしたことで、亡くなった姉に捧げるドキュメンタリーを作っているという三月の妹・五月からインタビューを受けることになる。 面白かった。実写映画において俳優、編集(モンタージュと言ってもいいかも)に表れる状態のすべてが同時にこの映画に含まれているような面白さがある。嘘(演技)なしには絶対に成立しない設定(幽霊)の話を、自然な演技をそのまま見せる長回しの撮影で押し通すという…

昼顔

…ず、それを強く印象づけるために運転をさせるという感覚がいい。 ホテルでのやりとりのように、役者の身体的距離が近すぎると映画にならない。 傷口を鋭く(白く)光らせるというのは白黒映画の『赤い天使』(1966年、増村保造)でもあったけど、それをあんな風に使ってしまうとは驚きだ。とにかく、今時ここまでロジカルに演出で勝負する映画を撮れるのは日本では西谷弘くらいではないだろうか(あと濱口竜介か)。 ドラマは視聴済。ブニュエルの『昼顔』はほぼ関係ない気がする。むしろ増村っぽさを感じた。