呉衣の映画トンネル

映画の感想(ネタバレ有)を置きます

マノエル・ド・オリヴェイラ の検索結果:

春の劇

…1/21鑑賞 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ パンフレットによれば「16世紀に書かれたテキストに基づいて山村クラリャで上演されるキリスト受難劇の記録」らしい。延々と毎年毎年、復活祭にこの劇が演じられてきたというのは正直信じられない思い。セリフは一定の節をつけられた独特の朗読によって行われるため、まるで百人一首の読み上げみたいな調子に聞こえた。 劇の上演をドキュメンタリーとして記録したわけではなく、フィクションとして再構成してある。上演されるまでの村人たちの様子を冒頭に置きつ…

カニバイシュ

…/23 鑑賞 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ 特集上映「永遠のオリヴェイラ」で見た。原題は”Os Canibais”とのこと。 非常に変な映画である。舞台は、時代も場所も不明などこかの上流貴族の舞踏会。黒塗りの高級車に乗った貴族が続々と現れ、晩餐会が行なわれる館に入っては群衆から拍手を浴びる。このあたりの無感動な拍手と、それを受ける貴族の仕草は、どちらも機械的なのであたかも人形劇のように見える。すでにオリヴェイラの世界が展開されている。最初の高級車に乗っているのは、貴族では…

Um Século de Energia

…/16 鑑賞 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ あんな妖怪爺みたいな人がこんなに叙情的な遺作を撮るなんてちょっとズルいんじゃないか? 四重奏を真正面から撮った画から右に流れるようにパンをして、上演されている白黒フィルムの中に入っていく。そこでは過去と現在の水力発電施設(?)が被写体になっており、過去の施設=モノクロ、現在の施設=カラーというわかりやすい規則で対比的に編集されていくのだが、、、(水面を映すショットは過去作を思わせる)いよいよ水門を開くという劇的な場面で音楽も劇的…